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北鎌倉の寺院でフォーラム「ハイテクも伝統技術も道具世界」 地元在住の手袋作家講演も

講演する手袋作家・福島令子さんの作品。機能的でありながら独特のデザインが目を引く。福島さんの作品以外にも国内外から集めた作品を展示する(撮影:潮田登久子)

講演する手袋作家・福島令子さんの作品。機能的でありながら独特のデザインが目を引く。福島さんの作品以外にも国内外から集めた作品を展示する(撮影:潮田登久子)

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 北鎌倉の浄智寺(鎌倉市山ノ内)書院で1月21日・22日、「ハイテクも伝統技術も道具世界」をテーマに研究発表会が開かれる。主催は道具学会。

会場は北鎌倉の谷戸の深い緑に囲まれたかやぶき屋根の浄智寺書院。鎌倉石のゆるやかな階段を上ると正面に唐様の鐘楼門があり、右手に進むと書院が現れる

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 人間の生み出したさまざまな人工物を「道具」と捉えて考える活動している同学会。道具の本性を突き詰める学問体系を形成して研究を蓄積する「アカデミー型」、現在の道具の在り方から生まれる問題を掘り起こし世に問う「フォーラム型」を両輪としている。

 今回は「フォーラム型」での研究発表で、同学会が設立20周年ということもあり歴史のある鎌倉を選んだ。鎌倉在住の会員が中心となって企画し、縁あって同寺に企画を持ち込むと住職が快く受け入れてくれたという。

 同寺は臨済宗円覚寺派で鎌倉五山の第4位。過去・現在・未来を表す阿弥陀(あみだ)如来・釈迦(しゃか)如来・弥勒(みろく)如来の三世仏が本尊。境内は国の史跡に指定されている。

 21日は鎌倉在住の手袋作家で研究家・コレクターの福島令子さんが「手袋の多様な世界」と題し講演するほか、手袋を使った人形劇も行う。福島さんはイギリスで皮手袋作りを学び、手袋のオートクチュールブランド「MANI MANI」を設立。パリ・ルーブル装飾美術館にも作品が収蔵されている。今回は自作だけでなく、これまでに収集した国内外の手袋についても展示・解説する。午後は会員による研究発表、夜は同寺門前の料理店「鉢の木」での懇親会も用意する。

 22日午前は会員の研究発表、住職による同寺の説明と案内。午後は希望者のみ鎌倉に移動し、鎌倉彫資料館で博古堂29代目当主・後藤圭子さんによる解説付きでの見学、ファブラボ鎌倉でデジタルのものづくりを見学する「道具学探求ツアー」を行う。

 会員の発表は両日で15組。「和錠(江戸時代の錠前)」「台湾原住民Taromak族の自然共生と道具世界」「モバイルゲームの中の道具観~ポケモンGOを題材に」「90年前の英国製バイク、ARIELをミニチュアで再現」「人工頭脳を持つ道具たち―家族としてのロボット」「電気こたつの歴史と変遷」などテーマは多彩。同学会理事の齋藤紀行さんは「古い道具からアフリカや台湾といった海外の文化、オートバイや自動車模型のマニアックな話、アイボやポケモンGOなど新種の道具など、全くつながりのなさそうな分野が道具という軸となり知的好奇心を大いに刺激するはず」と話す。

 会員は専門領域の研究者や学者、職人、企業の開発担当者、デザイナー、建築家、ジャーナリスト、コレクターをはじめ、会社員や主婦、学生など一般消費者まで幅広く、誰もが対等な立場で交流できるところが魅力だという。

 齋藤さんは「『学会』のイメージを覆すような寺という場所で、私もいったいどうなるか大変楽しみ。一般の方にも門戸を広げているので、まずは気軽に体験していただければ」と参加を呼び掛ける。

 開催時間は、1月21日=10時30分~17時、22日=10時~12時20分。22日のツアーは14時~17時。参加費は、会員=1,200円、一般=1,700円、学生=700円(2日間通しで同寺拝観料含む)。懇親会参加費は5,000円(希望者のみ)。申し込み方法はホームページで確認できる。

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