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「値段はあなた次第」カレー2種 「銀座古川」鎌倉移転1周年で一日限り

「ナスとひき肉のカレー」を手にする古川親子。「商売なので最低1円と消費税は頂きます」と笑う

「ナスとひき肉のカレー」を手にする古川親子。「商売なので最低1円と消費税は頂きます」と笑う

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 鎌倉若宮大路沿いのカレーとシチュー専門店「銀座古川」(鎌倉市小町2)が7月8日、鎌倉移転1周年を記念し、2種類のカレーの価格を客自身が決めて支払う感謝イベントを開く。

テークアウトでも人気だった「小海老のクリームカレー」。いくらかは客が決める

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 東京・銀座で18年、洋食レストランとして営業した後、店主の古川智久さんが「1人でキッチンを回せるスペースで、少しスローにやりたい」と住まいにも近い鎌倉に移転。メニューを絞って1年前の同日に再スタートを切った。

 若宮大路に面したビルの2階奥。のれんをくぐると和モダンのシックな店内で、智久さんと母親で元タカラジェンヌの百合美さんが迎える。店舗面積は約33平方メートル、席数は12席と銀座時代のほぼ3分の1の規模だが、料理と共に2人が作り出す温かく楽しい雰囲気が気に入って通う客も多いという。

 「ただ、『銀座』を名乗っているからかチェーン店と誤解される方もあり、最初は地元のお客さまに来ていただけず苦しい日々が続いた」と智久さん。「そんなとき、銀座時代のお客さまにも助けていただいた。毎週のように通ってくださっていた物販大手企業の社長さんが『やっと見つけたよ』と、突然来店されたことも」と振り返る。

 「それでも少しずつ認知してもらい売り上げも伸びてきて、さあこれからだ」と思っていた矢先にコロナ禍に見舞われる。コロナ以前に比べ売り上げは8割減になった。「でも鎌倉だからまだ良かった。銀座にいたらとても続けられなかったはず」と胸をなで下ろす。

 「ピンチで始めたテークアウトも、まずはたくさんのお客さまに『銀座古川の』味を知っていただくチャンスだと前向きにとらえ続けた」と言う。「応援しています」「初めて食べておいしかったので、また買いに来ました」「中で食べられるようになったら絶対に来ます」という客の言葉がうれしかった。

 まだまだ客足は戻っていないが、1周年を迎えるに当たり還元できる企画を練った。「自粛、自粛で楽しみが減っているので、何か面白いことを」と思いついたのが、客自身に価格を委ねるサービス(税別)。

 テークアウトで人気だった「小海老のクリームカレー」と「ナスとひき肉カレー」の2種が対象で、いずれも店内での通常価格は1,400円。智久さんは「1円でも、10円でも、100円でも。自分だったらお財布の小銭を全部かな」とほほ笑む。

 カレーは銀座の店を開いて1年で急逝した父・喜春さんが、英国大使館勤務時代に作っていた欧風カレーを継承。チキンブイヨンをベースに30種以上のスパイスを調合している。喜春さんは帝国ホテルで36年間シェフを務め、智久さんも同ホテル出身。

 通常メニューは、カレーがチキン(1,000円)、ほうれん草(1,400円)、ポークカツ(1,500円)、シーフードクリーム(1,800円)、牛タン(2,200円)、海老フライとドライピラフクリームカレー添え(2300円)など。シチューは野菜(1,700円)、牛タン(2,200円)、和牛ビーフ(2,300円)、魚介類のクリームシチュー(2,800円)。肉料理は、ハンバーグステーキ シチューソースがけ(2,200円)、A4和牛サーロインステーキ200グラム(4,500円)など。

 智久さんは「コロナ禍ですっかり外食から遠のいてしまった今、家族で、友人たちと楽しく食べていた外食を思い出すきっかけになれば」と話し、「銀座時代のように、鎌倉でも皆さんに愛される店になりたい。来年は創業から20周年。また何か企画するかも」と目を輝かせる。

 営業時間は11時~14時(土曜・日曜・祝日は11時~14時30分、17時~19時30分)。木曜定休。

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