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猛暑の鎌倉に「冷たい焼き」 家族経営の温もりあるたい焼き店が提供

「冷たい焼き」のホイップクリーム。もちもちの皮もあんの小豆も北海道産

「冷たい焼き」のホイップクリーム。もちもちの皮もあんの小豆も北海道産

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 「江戸一たい焼き 鯛幸房鎌倉店」(鎌倉市小町1)が現在、冷蔵したたい焼き「冷たい焼き」を売り出している。

店長の林太一さん(左)、店主の鴨下幸子さん(中)、林麻衣子さん

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 梅雨明け前から真夏の暑さとなっている鎌倉だが、現在同店で売り上げを伸ばしているのが「冷たい焼き」(250円)。同商品は、焼いた生地をいったん冷凍庫に入れ、凍る寸前で取り出し具を注入する夏季限定たい焼き。

 中身は、つぶあんホイップ、カスタードホイップ、チョコホイップ、クリームチーズの4種類で、同店店長の林太一さんは「鎌倉では見たことがないと、一度食べた人はリピートしてくれる」と話す。

 出掛けた先で出されて食べたという佐々木孝さん(市内在住)は「冷たいたい焼きは初めて食べたが、衝撃的においしかった。帰りに踏切を通ったので、その足で寄って家族へのお土産にした」と話す。「夏だけとはいわず、通年で販売してほしい」とも。

 「江戸一たい焼き 鯛幸房」は、2009(平成21)年に東京都狛江市で創業し、3年後に京王線国領駅前に移転。今年1月に2号店となる鎌倉店を開いた。社長の鴨下幸子さんは「鎌倉在住の親戚の家に来るたびに、いつかはこんなところにも出店してみたいと夫婦で話していた」と振り返る。

 鴨下さんは「2014(平成26)年には日本経済新聞が行った『たい焼きランキング』で全国3位になるなど本店の経営が軌道に乗り、4年ほど前から本格的に鎌倉で物件を探し始めた」と話す。物件はなかなか見付からずあきらめかけたが、コロナ禍の中、昨年9月に理想的な空き店舗が見付かったという。

 「観光客ばかりではなく地元の方に来てもらいたいので、小町通りのメインではなく、少しだけ外れた場所を希望していた」と話す鴨下さん。店を構えたのは、JR鎌倉駅プラットホームの北鎌倉駅寄りの端に隣接する踏切の脇。改札からは回り道しなくてはならないが、「『踏切の小町通り側』と言えば、地元の人にはすぐ分かってもらえる場所」とも。

 以前は日本そば店で、奥に長い店内の道路側に客席、奥側に厨房(ちゅうぼう)があったが、テークアウトしやすく、焼いている姿が見え、匂いを感じてもらえるようにレイアウトを逆転させた。国領の本店はテークアウト専門店だったが、鎌倉店にはイートインスペースを併設した。店舗面積は約60平方メートル、席数は18席。

 店長として鎌倉店を任されている林太一さんは、鴨下さんの娘・麻衣子さんの夫。たこ焼きと鉄板焼きの店でも働いた経験がある林さんに「私たちにはイートインの経験がなかったので」と、鴨下さんが声を掛けた。

 林さんは「鎌倉は観光で来たことがあるくらい。生まれも育ちも調布で、外で暮らしたことはなかったが、思い切って」移住したという。本店は鴨下さんの夫の正身さんが、鎌倉店は林さん夫婦が、それぞれ運営し、鴨下さんが両店を行き来するスタイルで2店舗を家族で経営する。

 1月の開店当時は緊急事態宣言下で「いつもの状況を知らないので、良いのか悪いのかも分からなかった」と笑顔を見せる鴨下さん。林さんは「できるだけお客様と会話し、時間を見つけては近所のお店などを回って情報交換した。本当は夜に飲みにいくのが一番だと思うが、それもままならない時期が続いている」と話し、「コロナが落ち着いたら、夜はたい焼きやたこ焼きを出すバータイムも」ともくろむ。

 それでも、街の東西をつなぐ踏切を行き来する人や車が多く店は徐々に知られる存在になってきたという。「ママ友や年配の夫婦連れ、会社帰りの人など地元客が中心で、週末は観光客も増えてきた。遮断機が下りている間にと、急いで買っていく人も」と林さん。鴨下さんも「『国領の店を知っている』という人、国領からわざわざ訪ねてくれる人もいてありがたい」と話す。

 元々たい焼きが大好きだったという鴨下さんが店を立ち上げたのは、現在使っている北海道産のミックス粉(小麦粉)と出会ったことがきっかけ。「焼きたてのパリッと感、冷めてからのもちっと感の双方を持ち合わせている粉は他にない。これならおいしく楽しく食べてもらえる」と自信を持って創業したと話す。小麦粉を使うたこ焼きを調理していた林さんも、粉を溶きながら「全くダマにならないのが不思議」と驚くほどだったという。

 たい焼きのメニューは、「つぶあん」「しろあん」「カスタード」「抹茶あん」(以上200円)、「季節あん」(230円)、「ボーノ」「チョリソーボーノ」(250円)。

 「ボーノ」は、「具がラザニアミート、ウインナー、チーズで、甘くないたい焼き。本店でも人気メニューで、ウインナーをチョリソーに替えた辛口は鎌倉店オリジナル。ビールとボーノを楽しむ人も多い」(林さん)という。

 「冷たい焼き」は、業績が落ち込む夏を見据えて本店時代に開発した。林さんは「ドライアイスを付けるので持ち帰りにも最適。『冷たい焼き』も焼き立てのたい焼きも徐々に広がっていき、いつの間にか鎌倉土産の一つになっていればうれしい」と話す。

 営業時間は10時30分~18時30分ごろ。

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