
鎌倉蛭子(ひるこ)神社(鎌倉市小町2)の境内で3月23日、震災発生を想定した炊き出し訓練をしながら、集まった人や団体の親睦を深めることを目的にした「神社de炊き出し」が開かれる。
「各地で災害が続き、対岸の火事とは思えなくなっている中、実際に起きた時に行政の支援が届くまで、頼りになるのは地域の人同士の助け合い」と話すのは、主催する「鎌倉小町まちづくりラボ」代表の稲田富之さん。「そのときのために、鎌倉に住んでいる人、働いている人、観光に来た人が顔を合わせることから始めようと企画した」と続ける。
昨年11月30日に同所で開いた第1回には、幼児から高齢者まで約60人が集まった。境内の奥にかまどを設置して火をおこし、ずんどうや釜を使って豚汁やおにぎりを作ったほか、地元消防団の指導で消火器を使った訓練などを行った。
今回は、消防車の展示や防災普及学生団体「Genkai」がブース出展する。より多くの人が参加できるように、前回は1時間だった開催時間を2時間に延長。稲田さんは「個人の訓練だけでなく、自治会や商店会、消防団、学生団体などが日頃から協働しておくことで、いざというときにスムーズに連携できるはず」と話す。
同神社は、小町大路(辻説法通り)沿いに立つ鳥居から奥へ進んだ先に境内が広がり、裏手からは滑川の流れが見下ろせる。にぎやかな鎌倉駅東口から最も近い神社でありながら、静かで観光客の姿もほとんどない。前面がガラス張りの倉庫には、毎年8月の例大祭で鎌倉駅前や小町通りを巡行する唯一のみこしが収められている。
稲田さんは「今回のイベントで、地域の鎮守(ちんじゅ)の存在を改めて知ってもらうことも大切。今後も、地域内の神社や寺、公共施設など人が集まりやすいスペースで定期的に開き、共助の力を高めていきたい」と話し、「誰でも参加できるので、地域の人だけでなく、観光目的の人も立ち寄ってほしい。温かい豚汁を食べながら交流できれば」と来場を呼びかける。
開催時間は11時~13時。参加費は200円(食材費)。おにぎりと豚汁はなくなり次第終了。雨天中止。