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鎌倉の「旧大佛次郎茶亭」で「縁の集い」 100年超の建物で面影味わう

スタッフの佐藤晴美さん(左)と斎藤康子さん。茶亭の玄関で

スタッフの佐藤晴美さん(左)と斎藤康子さん。茶亭の玄関で

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 鎌倉の「旧大佛(おさらぎ)次郎茶亭」(鎌倉市雪の下)で10月9日~12日の4日間、「第1回 大佛次郎 縁(えにし)の会」が開かれる。主催は同所を管理する「大佛次郎文学保存会」。

黒い板塀と木戸が一体となった正面入り口

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 作家の大佛次郎は1897(明治37)年に横浜で生まれ、1921(大正10)年の結婚を機に鎌倉に転居。「パリ燃ゆ」「天皇の世紀」「鞍馬天狗」など文学作品の著作のほか、翻訳家や童話作家としても活躍し、川端康成や里見弴などと共に「鎌倉文士」と呼ばれた。鎌倉の自然を開発から守り、後に制定される「古都保存法」のきっかけにもなったナショナルトラスト運動を、仲間と共に立ち上げたことでも知られる。

 同所はかつての自宅の向かいにあり、友人などを招く交流の場として使われたかやぶき屋根の数寄屋造り風木造建築。黒の板塀に囲まれた緑豊かな約1000平方メートルの敷地に立ち、延べ床面積は155平方メートル。1919(大正8)の建築で、関東大震災の被災も免れており、鎌倉市の景観重要建築物に指定されている。

 2021年に同会が親族から継承、約1年をかけて大規模修繕を行い、昨年10月に土曜・日曜限定のカフェとして営業を始めた。カフェを運営する佐藤晴美さんは「多くの人と会話する中で、この場所だからこその縁が生まれるのを日々実感している」と話し、「ちょうど1年が経過したところで、次のミッションとして、大佛次郎の文学をより身近に感じてもらい、広げていくために今回のイベントを企画した」と続ける。

 当日の入場料は3,000円で、1ドリンクと菓子、小冊子、カフェ営業時の割引チケットが付く。小冊子は、年譜など資料のほか寄稿文などから大佛次郎の人となりを知ることができる16ページの構成で、同イベントのために制作した。

 室内では、同所に残っていた書籍や主治医に献本したサイン入りの書籍なども展示。手に取って閲覧できる書籍コーナーも設ける。パネル写真の展示では、1934(昭和9)年から鎌倉文士らが中心となって開いた「鎌倉カーニバル」で「ミス・コンテスト」の審査をする大佛次郎が写った写真も並べる。猫好きだった大佛次郎にちなみ、猫にまつわるコーナーも用意する。

 佐藤さんは「初日は大佛の誕生日でもある。100年の時を刻む建物や庭をゆっくり楽しみながら、大佛を感じてほしい。ファンでなくても、この茶亭で過ごせば、鎌倉の魅力をもっと深めるきっかけになるはず」と来場を呼びかけ、「大佛文学の魅力を広げていくと同時に、大佛が鎌倉の自然を開発から守ったように、この建物を長く維持管理していくのも私たちの大切な役割。今後も多くの人に知ってもらえるよう、ブラッシュアップしながら回を重ねていきたい」と意気込む。

 開催時間は10時~16時。入場料は3,000円。滞在は2時間まで。靴下着用(当日100円で販売も)。

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