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自分を知り食材を導き出すメソッド 鎌倉薬膳アカデミーが10年目に公開

セミナーは同学院卒業生が中心だったが、一般の参加者が増えている

セミナーは同学院卒業生が中心だったが、一般の参加者が増えている

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 中医学や薬膳などのスクールを運営する「鎌倉薬膳アカデミー」(鎌倉市御成町)が8月5日・21日、自分の体質や体調を知って摂取すべき食材を、誰でも簡単に導き出せる「山内式メソッド medifood(メディフード)」を使ったセミナーを開く。

セミナーはオンラインでも開いている

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 2000(平成12)年にオープンした料理教室「food stage皿×皿」を前身に、2007(平成19)年に設立した同アカデミー。中医学理論や薬膳理論を学び、調理実習を通して日本の気候風土や食材、日本人の体質に合わせた「和の薬膳」を身に付けることが目的で、卒業生は料理教室時代を含めると2000人を超える。

 講座は、女性限定の少人数制。キッチン付きの教室での1回4時間で月2回の24回の「中医薬膳営養師 通学コース」をはじめ、現在はオンラインのコースなども設定している。

 「毎日食べたものが薬の代わりになり、健康維持や増進、症状の改善につながるというのが薬膳の考え方」と話すのは同アカデミー代表の高尾仁美さん。「単なる漢方薬と勘違いされる方が多く、理解していただくまでに時間がかかる。それでも健康に向き合う人が増え、少しずつ理解は進むようになってきた」とほほ笑む。

 今回のメソッドの公開やセミナーの開催も、コロナ禍で体調を崩す人が増え、健康のための食事などが注目されてきたことがきっかけだという。従来の連続受講スタイルではなく、単発のため受講しやすくなった。「2月の発表以降、主に卒業生を対象にセミナーを開いてきたが、一般の受講者も増えている」と高尾さんは手応えを話す。

 「もともと『体調を崩して食べ物を変えようと思ったが、情報があふれていて、結局自分は何を食べたらいいか分からない』という生徒さんの声がきっかけで生まれた」(高尾さん)メソッド。何を食べるか以前に、さまざまな情報を自分自身に置き換えることができずに悩んでいる人が多いことに気付き、自分を知るところをメソッドの入り口とした。

 今の自分がどんな体調にあるのかを知り、次にどんな体質を持っているかを知るという2つのステップを、シンプルな質問で構成。イエス・ノーで答えていくだけで、「普段はなかなか気付いていない自分を『診(み)える化』できる」(高尾さん)のが大きな特長。ステップ3では自分に合う食材と心身のケアの方法が分かる仕組みで、それぞれのレシピも提供する。

 「実は10年ほど前に創設者の山内正恵が考案し、ずっと温めてきたもの。コロナ禍の今こそ役立つと考え、昨年7月にプロジェクトを立ち上げた」と振り返る高尾さん。「広げていきたいという思いはあったが、当時は私たちに具体化する技術がなかった。その後の10年間の経験や新たなツールの活用などで、誰にでも分かりやすく伝えることができるようになって完成した」と胸を張る。

 制作過程で難しかったのは、自分自身を知るための質問を絞り込んでいくところ。明確に傾向が出る質問を導き出すために50人近い人に協力してもらい、検証しては仮説を立てて、また検証するという作業を繰り返した。

 今年2月、出来上がったメソッドを用いたセミナーを開くと、「とても分かりやすい」「何を食べたらいいか具体的に分かった」「調子が良くなった」「食事作りが楽になった」「余計なものを買うことがなくなった」「食事そのものが楽しくなった」など感想が寄せられた。「初めて自分のことが分かって救われた」と涙を流す女性もいたという。

 「驚いたのは、このメソッドをほかの人にも伝えたいという声が多かったこと」と話す高尾さん。早速、インストラクター養成講座を用意すると、現在までに8人のインストラクターが誕生した。「長い間やってきたが、教える仲間が増えていくというのは初めてでうれしい」と続ける。

 受講生は40代、50代の女性が中心。高尾さんは「自分自身の不調を感じやすい一方で、少し生活が落ち着き学ぼうという気持ちが湧き上がる年代」と分析する。「皆さんが元気になっていく姿を見るのが楽しみ。その年代になる前の20代、30代にも受けていただければ」と呼び掛ける。

 「自分自身のことを知らずに、ただ好きだから、体に良いと聞いたから、自分に合っていそうだからという理由だけで何となく食べ物を選んでいることが多いと思う。体も心も食べ物でできている、何を食べるかで自分が形成されるという意識を持つことが大事。このメソッドを体験して、もっと自分を大切にすることに気付いてほしい」と高尾さん。「今後は、中学受験生を持つ親向けのセミナーや男性向けの講座も企画していきたい」と抱負を話す。

 同メソッドのセミナー料金は、グループ(120分)=1万1,000円、グループと献立ワークショップ(195分)=1万3,970円)、個人と献立ワークショップ(120分)=2万7,500円。「献立ワークショップ」は、1週間分のレシピをシュミレーションし自宅で使える組み合わせを学ぶ講座。

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