鎌倉の古民家で暮らすライターで編集者の長井純子さんが執筆した書籍「住まいの新常識101」が7月29日、エクスナレッジから出版された。
長井さんは25年にわたる会社員時代に、注文住宅、リフォーム、リゾート、賃貸など10以上の住宅誌の編集長を務めた後、2011(平成23)年からはフリーランスで、住宅や暮らし関連記事の執筆や編集、コンサルティングなどを行っている。
同書は、長井さんの30年以上の取材経験や知識、自らの住宅購入やリノベーション、転居などの実体験に基づいて、住まいの選び方や暮らし方のヒント、アドバイスなどを101項目にまとめた。1項目につき1ページまたは見開きで、カラーのイラストや図、写真と共に構成している。
「多分1項目につき1冊書ける」と笑う長井さん。「あえて簡潔にして、興味がある程度の人には入門書として、真剣に考えている人には深掘りするきっかけとして、拾い読みできるスタイルにした」と続ける。
項目は「住まい選びで運命は変わる」「『買う』VS『借りる』論争に終止符」「気になるエリアは『お試し居住』」「家づくりにまつわる儀式や風習」「身の回りには先生がいっぱい」など、住宅の基礎から物件選びまでのノウハウ、こだわりを形にする方法、住まい方や暮らし方の工夫までを、長井さんならではの視点でまとめ上げたという。
「住宅のプロのはずなのに、自分自身が購入やリフォーム、転居する度に初めて気づくことがたくさんあった」と話す長井さん。自らの成功や失敗談など等身大のリアルなエピソードも随所に織り込んだ。「コロナ禍に転居を考える人が増えて、さまざまな相談に答えた事例や知人のネタも使わせてもらった」と続ける。
最終章は、中古と新築の一戸建て、賃貸マンション、古民家のリノベーションを取材した「理想の住まい事例集」。古民家は、長井さんの自宅を公開。「プライベートを公開するリスクや恥ずかしさもあったが、これまで数えきれないほどのお宅を訪問取材し、公開させてもらってきた恩返しという気持ちも込め覚悟を決めた」という。
2015(平成27)年に鎌倉に古民家を購入し、リノベーションした長井さん。「都内在住時は地域とのつながりも希薄で環境問題の当事者意識もなかったが、鎌倉に暮らすことで考え方も行動も一変した。すぐ近くに海も山もあり、小さな町のサイズ感も人も大好き。今年、築100年を迎えたこの家を住みながら、また次につないでいけたら」と話す。
長井さんは「今は高いので買うのは少し待つと言っているうちに、あっという間に10年、20年たってしまうし、ライフスタイルも変化する。購入以外にも、賃貸やリノベーションなどに選択肢を広げれば、今の暮らしをもっと良くしていく方法はたくさんある。この本が、それに気づいて行動を起こすきっかけになれば」と話す。
仕様はA5判、224ページ。価格は1,870円。全国の書店で扱う。