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死についてカジュアルに語り合う「デス活」 鎌倉でワークショップ

「死をテーマに話したのは初めて」という参加者がほとんどだった第1回の様子

「死をテーマに話したのは初めて」という参加者がほとんどだった第1回の様子

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 「死」をテーマに話し合うワークショップ「デス活~カジュアルに『死』を語る、『生きる』を考える活動~」が9月27日、鎌倉の会員制図書室「かまくら駅前蔵書室」(鎌倉市小町)で開かれる。

「一人一人が自由に考えを話してもらうことを心がけている」と話す吉田さん

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 「デス活」を主催するのは、「公認心理師」の国家資格を持つ吉田英史さん。意識的に涙を流しストレスを解消する「涙活(るいかつ)」のセミナーやワークショップを、企業や学校、医療機関、介護施設、自治体などからの依頼を受け全国各地で開いており、テレビ番組に登場する際には「なみだ先生」を名乗っている。

 「デス活」を始めるヒントは、そのセミナーの最後に設けているグループディスカッションにあった。「身近な人やペットの死について話す人が多く、死を話す機会を望んでいる人が多いのではないかと感じていた」と吉田さん。「初めは暗く深刻な表情だった人が、終わる頃にはスッキリした顔になっていく様子を見て、かつて友人たちと都内で開いた『デスカフェ』を思い出した」と振り返る。

 デスカフェは、年齢や性別、宗教などに関係なく、飲食しながら死について語り合うイベントで、妻と死別したスイスの社会学者が2004(平成16)年に始めたのを機に、2011年ごろから世界中に広がったといわれている。吉田さんは「生まれ育った鎌倉には寺社が多く、僧侶から死に関わる話を聞く機会も多かった。改めてデスカフェを始めるのにふさわしい場所だと気づいた」と話す。

 「デスカフェという名称で開いていた当時は、テーマを重く感じてしまうためか、なかなか気軽に参加してもらえないのが悩みだった」と吉田さん。涙を流す活動を「涙活(るいかつ)」と呼ぶことで認知度が高まった経験から、「デス活」と命名。吉田さんは「厳かな『死』を『推し活』『婚活』『妊活』といった前向きに活動するイメージにして、より参加したくなる雰囲気にした」と続ける。

 6月27日に同所で開いた第1回には、「『デス活』という言葉に引かれた」という参加者も含め定員の8人が集まった。死をテーマにフリートークで進行すると、「そもそも死について話す機会がなかったので、貴重な体験だった」「重くなりがちな話題なのに、楽しくしゃべることができて不思議な時間だった」「自己開示にはもっと勇気が必要だと思っていたが、思った以上にハードルは低かった」「介護や看取りの体験を公の場で初めて話し、聞いてもらえたことで気持ちが楽になった」などの感想が聞かれた。吉田さんは「死は誰にも必ずやってくるし、接することも多いのに、集中して話したことがなかった人ばかり。生きているこの瞬間の豊かさを再確認できたのでは」と話す。

 7月に開いた第2回以降はテーマを設定。「あなたが映画・文学の世界で感銘を受けた死は?」「死は怖い? 悲しい? それとも」と続き、4回目の今回は「死ぬ前に、最後に何を食べたいですか?」をテーマに据える。

吉田さんは「話しやすいテーマなので楽しく会話ができるはず。気楽に話しながらも、ほかの人の考えに触れることで気づきがあり、いつの間にか『死』に向き合い、より良く生きていくための活動につながる。毎回、参加者が帰っていくときの笑顔を見るのがうれしい。今後も月1回のペースで開いていきたい」と抱負を話す。

 開催時間は18時~20時。参加費500円。

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