鎌倉と江ノ島のギャラリーや店を巡りながら現代アートに触れるイベント「Meets Art Kamakura+『海と山と、それから』」が11月3日に始まった。
絵画や写真、彫刻などの作品を展示する4つのアートギャラリーと、関連する作品を各ギャラリーが選んだ店に展示する同イベント。参加者はパンフレットを手に、アートと街並みや自然に触れながら、徒歩や公共交通機関を利用して自由に巡る。
「1年ほど前、江ノ電に揺られながらの雑談中にアイデアが浮かんだ」と話すのは、参加ギャラリーの一つ「Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)」(鎌倉市浄明寺)の黒田幸代さん。「HUG FOR_.(ハグフォアー)」(由比ガ浜)の奥山英里子さんと「地元の個性的なアートギャラリーを、もっと知ってもらうために何かできないか」と話していたときのことだったと振り返る。
都内などで開かれているギャラリーを巡るツアーをヒントに、鎌倉の海や山を身近に感じながら回遊できるイベントに仕立てようと盛り上がったという。早速、2人の共通の知り合いだった「Books&Gallery(ブックス・アンド・ギャラリー) 海と本」(長谷)の鎌田啓佑さん、「Gallerry&Cafe Gigi(ギャラリーアンドカフェ ジジ)」(藤沢市江ノ島)の石川直也さんに声をかけた。
賛同を得ると、月1回のペースでミーティングを重ねた。ビールや食べ物を持ち寄ることもあり話が弾み、石川さんは「別々の場所のオーナーたちが、ここまで仲良くなれたのは不思議。競い合いつつ協力できる良い関係が生まれた。知らなかった作家を紹介し合って新たなつながりもできた」と話す。
タイトルの「Meets Art Kamakura+海と山と、それから」の「『+』には現代アートとの出合いに加えて、鎌倉や江ノ島の魅力を味わってほしいとの思いを込めた」と黒田さん。「それから」は「自分たちの活動が今後も続いていくこと、参加者が何かを持ち帰り、それぞれの未来につなげていってほしいと願って付けた」と続ける。
パンフレットの表紙は、石川さんの知人でアーティストの田中茜さんの作品。黒田さんは「美しい青、しかも夜を思わせるような深みのある青が重すぎず軽すぎず、歴史ある土地と現代アートの深みにふさわしいイメージだと全員の意見が一致した。どこまでも広がる奥行きを自由に想像できることも、アート鑑賞の楽しみにつながる」と話す。
各ギャラリーなどに用意したパンフレットを手に、4つのギャラリーを巡りスタンプを集めた参加者には、各ギャラリーの詳細や出店アーティストの作品を掲載したオリジナルのZINE(小冊子)を進呈する(在庫がなくなり次第終了)。
期間中、レストランと調香専門店「enso(エンソウ)」、眼鏡店「Neu(ノイ)」、こうじも販売するカフェ「sawvi(ソウビ)」、セレクトショップ「ハルバル商店」に、各ギャラリーがセレクトしたアート作品を並べる。
黒田さんは「秋のひととき、海や山を楽しむ感覚で、街歩きしながらギャラリーを訪れアートに親しんでほしい」と話し、石川さんも「こんなギャラリーがあるのかと、新たな出合いを楽しんでもらえたら」と参加を呼びかける。
開催時間・営業時間、定休日は会場や店舗に準じる。今月24日まで。