![記念台紙を手にする廣江さん(左)と木村局長](https://images.keizai.biz/kamakura_keizai/headline/1739150746_photo.jpg)
鎌倉郵便局(鎌倉市小町1)が2月1日で開局150年を迎えたのを記念した小型印に、市内在住の廣江まさみさんが描いた笑い文字のデザインが採用され、来年1月末までの1年間、窓口で希望者に押印する。
同局は、日本で郵便制度が始まって4年後の1875(明治8)年に長谷郵便局として開設。1977(昭和52)年に現在の場所に移転し、2月1日で150周年を迎えた。
「記念のイベントをいくつか用意しているが、第1弾が小型印」と話すのは、第56代局長の木村智久さん。「インフラを担い支えてきて150年。今年が新たな時代へのスタートでもあるからこそ、ありきたりのデザインにはしたくなかった。一昨年につながりのできた『笑い文字』創始者である廣江さんに依頼した」と続ける。
小型印とは、市町村のイベントや記念行事などの際に期間限定で使う消印。今回のデザインは、社員から募った「いざ鎌倉」のフレーズを、未来へ笑顔が続くようにとの思いを込め、廣江さんが「鎌倉」の漢字の中に笑顔を描いた。
1月15日に発表すると、月末までに全国から約300通の押印依頼の封筒が届き、押印を始めた2月1日には50人以上が窓口を訪れ、一人で複数枚の押印を依頼する人もいたという。
廣江さんが2012(平成24)年に考案した笑い文字は、黒色と朱色の筆ペンを使い、ひらがなや漢字、アルファベット、数字などの文字の中に人の笑顔の絵を組み込む表現。2022年から毎年、全国の郵便局で申し込める年賀状印刷のデザインなどにも採用されている。
木村さんが関係者の紹介で、初めて廣江さんに会ったのは2023年12月。「その場で描いて手渡すという笑い文字のコンセプトが、現物を届けるという手紙文化にも通じると感じた」と言う木村さんは、すぐに廣江さんにイベントを依頼し、わずか2週間後に、笑い文字で名前を描く会を同局ロビーで開いた。「描いてもらった人が笑顔になっていく姿を見て、笑い文字の持つ力を改めて実感した」と振り返る。以来、廣江さんとの交流が続き、今回の小型印につながった。
2月3日には同局ロビーで、3回目の笑い文字で名前を描くイベントを開き、廣江さんが運営する「笑い文字普及協会」の講師陣が、来局した希望者に笑い文字で名前を書いて無料で進呈した。
同局の沿革や笑い文字を印刷した記念台紙を1000部用意。85円切手購入客に配布し、「記念押印」としてその場で小型印を押すほか、実際に差し出す郵便物に「引き受け消印」として押す。
木村さんは「記念押印は今年限りの鎌倉土産にもなるので、ぜひ窓口に足を運んでほしい。10日からは市内に30本ほど残っている丸型ポストを撮影した人に記念品を進呈するほか、今後はロビーで『鎌倉郵趣会』による鎌倉ゆかりの切手の展示などを行う予定」と話す。
郵便窓口の営業時間は9時~19時(土曜は15時まで)。日曜・祝日定休。