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鎌倉に手作りカプセルトイ販売機 中身は小学生歴女のコメント入りしおり

段ボール製のボックス。腕を突っ込んで小さなカプセルを取り出す

段ボール製のボックス。腕を突っ込んで小さなカプセルを取り出す

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 鎌倉の住宅街で週末などに営業しているキッチンカーのコーヒー専門店「Cuddle Coffee(カドルコーヒー)」(鎌倉市扇ガ谷1)が2月11日、手作りの「かまくら人(びと)しおり」が入ったカプセルトイを1個10円で販売を始めた。

自家焙煎(ばいせん)コーヒーのキッチンカーの横で店主の太田さん

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 カプセルトイは、硬貨を投入してレバーを回すと玩具などが入ったカプセルが出てくる自動販売機。「何が出てくるか分からないところは一緒だが、うちのは自動ではなく手動」と話すのは、店主の太田恭子さん。「硬貨を入れたら、上部の丸い穴に手を突っ込んで、自分でカプセルを取り出してもらう」と笑って続ける。3週間9営業日で既に100個以上を販売したという。

 カプセルは直径3センチのミニサイズで、中は見えない。縦6センチ×横2センチの厚紙に、鎌倉時代の歴史上の人物をイラストで描いた「かまくら人しおり」が入っている。表面は、源頼朝、北条政子、畠山重忠、平清盛、新田義貞など18人のイラストで、裏面のコメントは1人につき2種類あり、全36種類。2月22日からは、もう1回挑戦できる「当たり」2種も用意した。

 裏面の人物にまつわるコメントのほとんどは、太田さんの長女で小学5年生の望実さんが考案した。望実さんは2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見て以来、歴史が好きになり、一昨年の「鎌倉検定」では3級の最年少合格者となった。太田さんは「自分でもコメントを考えてみたが、どうしても教育じみた文章になってしまう。その点、子どもが考えた方がシンプルで分かりやすくて面白い」と話す。例えば、源実朝のしおりでは、暗殺されることになる場所の「鶴岡八幡宮のイチョウの木には近づきたくない」とつぶやいている。「読んだ人が思わずクスッと笑ったり、感心したりする様子を見て楽しんでいる」と太田さんは話す。

 しおりの人選とイラスト、ボックス作りを担当したのは、同店の常連客だという絵本作家でイラストレーターのミノオカ・リョウスケさん。同店は週末と祝日のみの営業だったが、ミノオカさんの橋渡しで「佐助カフェ」(佐助2)定休日の水曜に前庭に出店できることになり、営業を始めると、遠足や課外学習で銭洗弁天などに向かう小中学生がたくさん行き来することに気づいた。太田さんは「鎌倉の歴史にも触れてもらうきっかけを提供できないかと2人で話しているうちに、ちょっと面白くて、ちょっとためになるしおりが出てくるカプセルトイを思いついたのが、そもそもの始まりだった」と振り返る。

 1回10円という価格について、太田さんは「自宅のプリンターで印刷し、カットして小さな穴を開け、ひもを通すという細かい作業を考えれば、もっと高くていいかもしれないが、子どもが何度でも挑戦できるよう(価格を)抑えた。子どもが誰かに買って帰る食べ物の土産ではなく、自分自身への手軽な土産としても最適」と話す。カプセルトイは一般的に1回200円~500円程度で販売されているが、10円は日本にカプセルトイが輸入された1965(昭和40)年の価格でもあるという。

 太田さんは「鎌倉散歩の途中、歴史にちょっと触れた気持ちにもなってほしい。気軽にカプセルを引いてみて」と話す。

 営業時間は11時~15時。月曜・火曜・木曜・金曜定休。水曜は佐助カフェ前で営業。

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