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鎌倉の閑静な住宅街に軽トラのコーヒー屋台 実家の玄関先で

ハンドドリップのため時間が掛かるが「目の前のお客さまと話しながら入れるのが楽しい」と店主の太田さん

ハンドドリップのため時間が掛かるが「目の前のお客さまと話しながら入れるのが楽しい」と店主の太田さん

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 鎌倉駅西口に近い閑静な住宅街に2月9日、キッチンカーによる自家焙煎(ばいせん)コーヒーのテークアウト専門店「Cuddle Coffee(カドルコーヒー)」(鎌倉市扇ガ谷1)が開店した。

住宅地に突然現れる木目を生かした「コーヒー屋台」。左隣は鎌倉の3大洋館の1つといわれる古我邸の入り口

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 西口から徒歩5分ほどだが敷地の大きな住宅が並び、鎌倉歴史文化交流館や古我邸を目指す観光客などが歩いている程度の静かなエリア。店舗もほとんどない一角に、土曜になると木目を生かした軽トラのキッチンカーが止まっている。

 「実家の入り口で、週1回だけ営業を始めた」と話すのは、店主の太田恭子さん。奥にある実家の建物に向かう約50メートルの私道の入り口を利用した。第1種低層居住専用地域のため「建物での営業許可は出ないが、移動販売車なら問題ないことを知って」と続ける。

 太田さんがコーヒーにのめり込んだのは、結婚した7年前。「もともとミルクを入れないと飲めなかった」というコーヒーだが、夫がドリップして入れてくれたところ「すっきりしておいしく、そのまま飲めて驚いた」と振り返る。

 コーヒーをドリップして飲む楽しみを知った太田さんは「焙煎まではやるつもりがないと言う夫に代わって」独学で焙煎も始める。最初はフライパンを使ったが、徐々に道具をそろえていった。「いろいろな豆を買ってきては4~5種類を用意し、仕事から帰宅する夫を待って試飲してもらった。夫婦で『コーヒー研究会』を夜な夜な」と言う。友人らにも飲んでもらうと評判が良かった。

 そろそろ次に進みたいと考えていた時に、たまたま葉山でかわいい移動販売車を目撃し行動に移した。作った職人を紹介してもらい、森を背負った場所に合わせ、木のテイストを生かした屋台風のキッチンカー製作を依頼した。「秋の紅葉シーズンに間に合わせようと考えてお願いしていたが年が明けてしまい、開店日には雪が舞った」と笑う。

 「すっきりしていておいしいと言ってくださるお客さまが多い。雑味を抑える入れ方をしているのでうれしい反応」と笑顔を見せる。メニューは、3種の豆を中いりにして酸味を抑えた「かまくらブレンド」のほか、「湘南ブレンド」(350円)、シングルオリジン(350円~)各種を用意。自家焙煎のコーヒー豆は販売もしている。

 店舗名は5歳の長女が大好きだというアニメのキャラクターがよく口にする「Cuddle」からで、抱きしめる、大切にするという意味。「今、目の前にいるお客さまに入れることができるのはキッチンカーならでは。話をしながらたっぷり時間を掛けている」と太田さん。ハンドドリップのため一杯当りに掛かる比較的長い約5分間を大切にしている。

 太田さんは「ますますカフェやコーヒースタンドが増えている鎌倉で全く調査もしないで始めてしまったが、前を通る人のほとんどが立ち止まるほどなのでインパクトはあると思う。ただ、探してもらえるかどうか。路地裏を散歩する途中で見つけて一息ついていただければ」と来店を呼び掛ける。

 営業時間は10時~16時。3月は土曜のみ営業。4月から金曜・土曜営業の予定。

 「子どもの幼稚園の送り迎えがあるため営業日が限られるが、お花見シーズンを含め、今後は少しずつ増やしていければ」と抱負を話す。

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