鎌倉ゆかりの本だけを集めた会員制の図書館「かまくら駅前蔵書室」(鎌倉市小町1)が8月1日、オープンから1周年を迎え、新たに法人会員の募集を始めた。
法人会員になると利用券30枚などが入ったセットが手渡される。利用券は従業員だけでなく、取引先などに進呈するなど使い途は自由
同施設は、入会金代わりに鎌倉に関する本1冊以上を「贈書」(寄付)し、入会金1万円を払うと1年間いつでも何度でも利用でき、その度にコーヒーや紅茶が飲める。会員が増えれば増えるほど「蔵書」も増えていく仕組みで、オープンから1年が経過し会員数は141人、蔵書は800冊を超えた。図書館だが「私語厳禁」ではなく「私語解禁」の表示があり、居合わせた会員同士が交流する場にもなっている。
会員は会社員や主婦、学生をはじめ、クリエーター、ライター、カメラマン、研究者、作家、翻訳家、音楽家、大学教授、建築士、税理士、キュレーター、僧侶、気象予報士、飲食店店主、ソムリエなどさまざま。「オープン前に想像していたよりもはるかに多彩な人が会員になってくださった。年齢や性別、職業などに関係なくフランクに話ができる場なので、出会った人たちがどんどんつながっていくのがうれしい」と話すのは代表の鈴木章夫さん。「カフェや図書館では、知り合いになったり新しいことが始まったりするケースはそれほどないはず」とも。
営業時間前の午前中を利用したイベントやワークショップも増えてきた。バトルをしないでお薦め本を紹介し合う「ビブリオバトらず」、鎌倉で販売されているサブレを集めてナンバーワンを決める「読書に合うサブレを探れ」、地元出版社が発刊した本の編集者に話を聞き著者がセレクトしたパンを食べる「『かまくらパン』をきいて食べる会」などユニークなイベントも多い。最近は会員が主催するワークショップも多くなり、週末は予約でほぼ埋まっている状況だという。
「ほかにはないコミュニティーサロンであることから興味を持ってくださる法人も増えてきた」ことから、法人会員の募集を始めたところ、早くも2社から申し込みがあったという。法人会員の登録は1口5万円で、いつでも誰でも使える利用券30枚や平日午前中の貸し切り利用券5枚が進呈されるほか、室内外へのロゴ掲出、ホームページへのバナーや紹介記事の掲載などが付く。
鈴木さんは「利用券は従業員だけでなくお客さまや取引先の方にも使っていただける。実際に足を運び利用した方に価値を実感していただけるのでメリットは大きいと思う。個人・法人の双方に良い効果があるよう運用し、これからも鎌倉でしか体験できない楽しい空間にしていきたい」と抱負を話す。
営業時間は12時~22時(入室は21時まで)。水曜定休。法人会員の申し込み方法はホームページで確認できる。