北鎌倉の葉祥明美術館(鎌倉市山ノ内、TEL0467-24-4860)で現在、絵本原画展「サニーちゃん、シリアに行く」が開催されている。
「サニーちゃん、シリアに行く」(2016年、自由国民社)の表紙
葉祥明(よう・しょうめい)さんが絵を、内戦が続くシリアで難民支援や地雷対策に取り組む国際NGO・AAR Japan「難民を助ける会」理事長の長有紀枝(おさ・ゆきえ)さんが文を手掛けた。うさぎのサニーちゃんがシリアで離ればなれになった友達を探す物語。長さんがトルコを取材する中で実際に出会った難民の子どもたちがモデルとなっている。
原画は1階企画展示室で展示。作品中の主だった絵と共にストーリーを紹介している。水彩の優しいタッチで描かれた絵と子どもたちの素直な心を映し出した言葉が迫る。葉さんによる「突然、住み慣れた家と町から命からがら避難しなければいけなくなったら、私たちはどうしたらいいのでしょう?」「家もなく、言葉も違い、仕事もない」「シリアのこと、知ってくれてありがとう!」というメッセージも掲示している。
世界の戦争・紛争地域を題材とする同シリーズは1996年、「地雷ではなく花をください」(自由国民社)として初出版。収益が地雷撤去や不発弾除去などに使われるという新しいボランティアの形を生み出した。現在まで6作品が出版され、累計発行部数は61万部以上。世界各地で東京ドーム567個分の土地の安全確保と100万人を超える人々への教育活動に充てられているという。6作目の「シリアに行く」の収益金はシリア国内避難民への食糧配布やトルコに逃れた難民の教育支援などに活用される。
入館料は大人=700円、小中学生=350円。開館時間は10時~17時。3月10日まで。