鎌倉駅西口近くの路地に4月16日、市内在勤者が交流しながら食事できる「まちの社員食堂」(鎌倉市御成町)がオープンした。
御成通りの路地を入って行くと鮮やかな水色で縁取られた三角屋根が現れる。ドイツ人設計家による建物
運営するのはウェブコンテンツなどを手掛ける「面白法人カヤック」(鎌倉市小町2)。年内に市内に新社屋が完成することから社員食堂を作ることになったが、敷地から離れた場所に建てて開放し、近隣で働く人たちが業種を超えて交流できる場にした。店舗面積は約50平方メートルで、席数は店内25席、テラス5席。
客は市内在勤を証明できる名刺や社員証を提示し、券売機の「非会員」ボタンを押して食券を購入。価格は朝600円、昼900円、夜1,000円。セルフサービスでライスやおかずをトレーに載せて着席する。
会員企業を募ったところ、証券会社や不動産会社、食品製造会社、IT企業のほか鎌倉市役所や観光協会、商工会議所など官民を超えた20以上の企業や団体などが賛同した。会員企業の従業員であれば券売機にある自社名が表記されたボタンを押すと、朝・昼・夜とも100円引きの食券が発券される。
定食は週替わりで、地元の約30の飲食店が担当する。「自分がよく行く店に声掛けした」と笑って話すのは、店選びやメニューづくりを担当した鎌倉在住のフードコーディネーター大瀧麻美さん。「ほかの土地では好意的な反応ばかりではないが、ほとんどの店の第一声が『面白いね』。帰りがけには『頑張って』と励まされるのも鎌倉らしい。参加店集めに苦労はなかった」と振り返る。
オープンの週はカレーで、由比ガ浜のカレー店「極楽カリー」と「まちの食堂」が鎌倉で捕れたサザエを使ったカレーの合い掛けだった。2週目は定食店「朝食屋COBAKABA」と弁当店「Yukkohan」のコラボ。その後も「FOOD STAND magali」「ふくや」「井上蒲鉾店」「御代川」「鉢の木」「定食屋しゃもじ」「鎌倉Bowls」「味噌屋 鎌倉」「ライ麦ハウスベーカリー」など市内の飲食店の味を提供していく。
同社の渡辺裕子さんは「いわゆる社員食堂という雰囲気ではないが、券売機やセルフサービスのスタイルはいかにも社員食堂。鎌倉ならではの味を楽しみながら、新たなコミュニケーションの場として交流していただければ」と話す。
営業時間は、モーニング=7時~9時、ランチ=12時~14時、ディナー=18時~21時。土曜・日曜定休。