見る・遊ぶ 暮らす・働く 学ぶ・知る

野村総研跡地活用を考えるハイキング 鎌倉市内最大級の建物に驚きの声も

正面側で本館を見る参加者たち。左手にも建物が続いており総床面積は約1万4877平方メートルで市内最大級の大きさ

正面側で本館を見る参加者たち。左手にも建物が続いており総床面積は約1万4877平方メートルで市内最大級の大きさ

  •  

 イベント「みんなで秋の鎌倉遠足ハイキング。行って、楽しんで、話して、考えよう『野村総研跡編』」が10月31日・11月7日、鎌倉で開かれた。主催は、暮らしと仕事をつなげてデザインする団体「くらしのアトリエ」(鎌倉市佐助1)。

丘の上で木々に囲まれているため、敷地内の旧グラウンドまで登ってようやく建物の上部だけが見えてくる

 野村総研跡地(鎌倉市梶原4)は、1965(昭和40)年に日本初の民間総合シンクタンクとして誕生した野村総合研究所(東京都千代田区)創業の地。小高い丘の上部16万1000平方メートルの広大な敷地に地上4階建ての本館ほか鉄筋コンクリート造りの建物3棟が残っている。

[広告]

 同社は1988(昭和63)年に都内に移転し、2002年に土地・建物が鎌倉市に譲渡された。その後、博物館や美術館などの構想が検討されたほか、ごみ焼却場や市庁舎、ITセンターなどの候補地の一つにもなったが、いずれも具体化せず建物は老朽化が進んでいる。現在は企業の誘致や民間と地域の連携による文化・教養ゾーンとしての利活用を想定しているという。

 「あまりにも大きな土地なので僕らにはどうにもならないと考えがちだが、住民が提案してもいいかどうか市役所に相談したら歓迎された」と話すのは、同団体の二藤部知哉さん。「だったらまずは現地を見て、市内外問わずみんなの意見を聞いてみることから始めようと企画した」と振り返る。

 「普通の人に気軽に参加してもらえるように」とピクニック仕立てに。7日は鎌倉駅西口に大人8人、子ども4人が集合し、寿福寺を経由して山道に入り、源氏山公園を抜けて大仏ハイキングコースへ。途中で脇に折れて緑が深く細い山道を進むと急に視界が開け、研究所の旧グラウンドに出る。再び山道を歩いた先に、ガラス張りの白い巨大な建物が現れた。

 大きさに圧倒される参加者に、「現在は規制もあり、市内ではもうこれほど大きなビルは建てられない」と二藤部さん。「勤めていた方から、当時としては一人当たりの専有面積が広く欧米のオフィスのようだったと聞いた」と続けた。市内の発掘調査で出土した遺物などの収蔵庫としても使われているため、現在は屋内への立入りは禁止となっている。

 幼児を連れ参加した母親は「実は3月まで青空保育で利用していた。自然の中でのびのび遊べて、子育てには最高の環境」と話す。敷地内の橋の一部がはがれ落ちたことから正面入り口が閉鎖され車で入場できないため、「久しぶりに訪れた」と言い、子どもたちは茂みに潜り込んだり、ドングリを拾ったりと楽しそうに走り回っていた。

 約2時間半の行程の後、近くのカフェで意見交換した。千葉と茨城から参加した女性らは「鎌倉が好きでよく訪れるが、こんな場所が残っていたのは驚き。自然を生かしながら活用してほしい」「企業にしろ施設にしろ、カフェなど併設すれば市内外の人との交流の場にもなる」と話した。市内在住の40代男性は「そのカフェで地元の人が働ければ雇用も広がる」と返すなどさまざまなアイデアが出た。

 同14日、20日、12月1日にもコースを変えながら同様のイベントを開き、意見をまとめて12月中には市役所に提出する予定だという。

 二藤部さんは「もっと誇れる、もっとわくわくする場所にしていく仕事は自分たちにもできると考え、行政でも企業でもなく、市民の中でも政治色の全くない中立な僕らがゆるく始めた。でも、本気で意見は届けるつもり」と話し、「意見を言うためには実感してみることが重要。まずは遠足気分で歩いて見ていただければ、これだけ広くて豊かな場所が自分たちの財産であることを認識できるはず」と参加を呼び掛ける。

 参加無料。申し込み方法はホームページで確認できる。