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武家の鎌倉で公家文化体験 「一条恵観山荘」で三味線演奏やトークも

約370年前に一条恵観が京都に建てた茶屋を鎌倉に移築。1964(昭和39)年、国指定重要文化財に登録された

約370年前に一条恵観が京都に建てた茶屋を鎌倉に移築。1964(昭和39)年、国指定重要文化財に登録された

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 鎌倉の回遊式庭園に重要文化財建造物などが建つ施設「一条恵観山荘」(鎌倉市浄明寺5)で12月1日、三味線演奏やトークセッションなどのイベント「荻江節@一条恵観山荘」が開かれる。

荻江節を継承する荻江寿愼さん。三味線方として国立劇場、歌舞伎座などに出演する一方、鎌倉を拠点に三味線ワークショップなども開いている

 同施設は1646年ごろ、後水尾天皇の弟である一条恵観が京都西加茂に建てた茶屋を1959(昭和34)年に鎌倉に移築し、当時のイメージを再現した私設の茶庭。禅寺など武家の雰囲気が漂う建築物が多い鎌倉で、公家文化を継承する数少ないスポットになっている。

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 「一般公開されていなかった3年前に招かれ講演した際、素晴らしい施設だと感じた」と話すのは、今回のイベントを企画した大沢寛さん。「その後、知り合った三味線の先生にも見てもらいたくて案内したのがきっかけ」と続ける。

 同行したのは、江戸時代の長唄をルーツにした三味線音楽のジャンルの一つである荻江節を継承する荻江寿愼さん。鎌倉で生まれ育ち「市内のことは知っている方だと思っていたが、ここは見逃していて驚いた。ぜひ演奏してみたいと思った」と振り返る。大沢さんも「ともに江戸時代からということで親和性がある」と感じイベントを具体化していった。

 当日は仁居応接間で、寿愼さんの三味線と荻江寿清さんの歌で「八島」を演奏する。同曲は世阿弥が平家物語を題材に描いた能の作品で、鎌倉にゆかりのある源義経の亡霊が主人公。

 寿愼さんと寿清さんに同施設を管理する安田倫也さんを加えたトークセッションでは、大沢さんの進行で山荘や荻江節の歴史をひも解いていく。同施設が所蔵している茶道具や器なども公開。「通常の展示ではガラス越しやケースの中でしか見られない貴重なものばかりなので僕自身も楽しみ」と大沢さんは声を弾ませる。

 その後、広さ約800坪の庭に出て散策を楽しむ。建物とともに移築された飛び石や枯山水が配置され、脇を流れる滑川(なめりがわ)沿いには小道もあり、せせらぎや鳥のさえずりも聞こえる。「ちょうど紅葉がピークを迎え、鎌倉でも貴重な美しい風景になっているはず」という。三脚などの使用はできないが、自由に写真撮影ができる。

 大沢さんは「今まであまり知られていない文化が育まれている場所を知ってもらういい機会。いつもの鎌倉と異なる雅な一日を楽しんでいただければ」と来場を呼び掛け、寿愼さんは「大事に受け継がれてきた道具や建物、守り継いできた方々の思いをしっかりと感じながら、荻江節の歴史と思いを重ねて演奏したい」と抱負を話す。

 開演時間は13時~16時(開場12時30分)。参加費は3,500円(同施設への入場料含む)。申し込み・問い合わせはフェイスブックページのほか、電話(080-5922-3755)かメール(kamakura510@yahoo.co.jp)まで。