閉店した鎌倉の書店、本で人をつなげるカフェ&バーとして再生

店長の和田さん。壁一面の本棚は40年前に桜材で作られたものをそのまま使った

店長の和田さん。壁一面の本棚は40年前に桜材で作られたものをそのまま使った

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 鎌倉・深沢で40年以上続き昨年閉店した書店「栄和堂」が11月16日、業態を変えてカフェバー「ブックスペース栄和堂」(鎌倉市常盤)としてオープンした。

書店だったころの栄和堂。本をメーンに文具や雑貨なども扱い、地元住民に愛される存在だったという。

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 「前店主の叔父が亡くなり閉店。店舗を家族が経営するIT企業が引き継ぎ、その運営を任されることになった」と和田淳也店長。自身もITのプロジェクトに携わっていたが、同店跡の活用に当たり、あえてリアルな「本を通して人と人がつながる場所」をコンセプトにした。

 今年7月から始めたリフォームでは書店だった記憶を伝えていくため、外観や壁一面の桜材でできた本棚、客が歩いた部分だけ色がはげた床などを生かした。本棚には自宅や実家の蔵書2000冊を持ち込み並べたほか、オープン後に来店客から寄贈された本も加わった。

 本の閲覧は店内に限るが、読みかけの本に自分のニックネームやコメントを書き込んで挟む専用のしおりを用意。同じ本を読んだ人同士がつながるきっかけを提供する。

 本棚には近所の居酒屋の店主など8人が個人的な選書を並べたコーナーも設置した。和田さんは「鎌倉にはユニークな人が多いので、その人のラインアップを見るだけで個性が伝わってきて楽しい」と話す。

 店舗面積は65平方メートル。席数は25席。メニューは、ドリンクが「本日のブレンド」「カフェオレ」「ビール」「ジントニック」「カシスソーダ」「アイリッシュコーヒー」「ウイスキー」「焼酎」「日本酒」(以上500円)、ソフトドリンク(300円)。フードは「自家製薫製」「豆菓子」など(以上300円)。

 開店から約1カ月が経過し来店客は徐々に増えている。かつての顧客だった年配者が利用したり、初めて訪れるという若者がリピーターになったりもしているという。中には閉店を知らずに書店のつもりで飛び込む来店客もいる。

 和田さんは「『ストア』でも『ショップ』でもなく『スペース』としたのは、場所としての価値性を打ち出したかったから。本は販売しなくなったが、本を扱う空間としてこれまでと変わらず気軽に立ち寄っていただければ」と話し、「今後はイベントやワークショップも開き、鎌倉らしい文化的なたまり場にしたい」と意欲を見せる。

 営業時間は12時~23時。水曜・日曜・祝日定休。

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