鎌倉大町の小さなショッピングモールに2月21日、モンブランのテークアウト専門店「Mont Blanc Stand(モンブランスタンド)」(鎌倉市大町1)が開店した。
山盛りの栗クリームの下には生クリームとサクサクのメレンゲが隠れている
横浜のフランス菓子店「オ・プティ・マタン」(横浜市金沢区)の新たなブランドによる出店。店主でシェフの武井晴峰さんは「人気の和栗モンブランが週末には200個、300個と出るが、駅から離れているのでお客さまに不便を掛けていると感じていた」と話し、鎌倉を選んだ理由を「本店からも近く、アクセスがよく、何より発信力がある」と続ける。
昨秋、駅から5分程度の「ウォーク大町」入り口1階に物件が見つかった。小町通りのように観光客があふれるエリアではないが、「大人っぽい雰囲気で、個性的な店が入居している小さなモールと出合い、モンブランに特化する店にも最適」と判断した。店舗面積は約23.3平方メートル。
商品は「モンブラン」(600円)と「ムラングシャンティ」(400円)の2種のみ。モンブランは、低温でゆっくり焼き上げたメレンゲに北海道浜中町産の生クリームを載せ、注文を受けてから栗のクリームを絞って注ぐ。栗は阿蘇の火山灰を含む土地で水はけが良いため味が濃いといわれる熊本県山鹿産で、砂糖だけを加え粗めにペーストした。
「見た目のシンプルさと深い味のギャップを楽しんでいただけるはず」と武井さん。「湿気を帯びるとメレンゲのサクサク感が失われる」ため、賞味期限は2時間に設定している。
武井さんは「注文を受けてから作るのは一緒だが、本店はお客さまから見えない工房内で、こちらではあえて見ていただこうとオープンキッチンにした」と話す。千葉から来店したという加藤千佳さんは「目の前で自分が頼んだモンブランの山が築かれていくのを見るのはわくわくする」とライブ感を楽しんでいた。
「ムラングシャンティ」は、串ダンゴ状のメレンゲの上にクリームをトッピングした片手で食べ歩きができる菓子。味はフラボワーズ、キャラメル、カモミールなどを用意する。
「ポイ捨てしない文化に貢献していきたい」と、テークアウトしたモンブランの紙カップを返却するとプチメレンゲを進呈する。当初はドリンクの提供も考えたが、やはり容器のポイ捨てが心配で中止にした。
武井さんは「テークアウト専門だが店内にベンチも用意している。ドリンクは持ち込めるので自由に楽しんでほしい。メレンゲ、生クリーム、モンブランの3つが奏でるおいしさを、これからも丁寧に広く伝えていきたい」と話す。栗の入荷量に限りがあるため在庫が切れる3月中には「黒豆クリーム」に変わる予定。「グレーなモンブランもお楽しみに」と笑顔を見せる。
営業時間は10時~17時。水曜定休。