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鎌倉の人気古書店「ブックスモブロ」店主病気療養で閉店 惜しむ声相次ぐ

閉店セールが始まった店内だが、いつものように淡々と仕事を続ける荘田さん

閉店セールが始まった店内だが、いつものように淡々と仕事を続ける荘田さん

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 8年前に開店し独自スタイルの古書店として親しまれてきた「ブックスモブロ」(鎌倉市大町1)が6月30日、店主の病気療養のため閉店する。

ブックカーニバルの翌日の19日に公表した「大事なお知らせ」の全文

 「大事なお知らせ」として閉店がホームページで公表されたのは5月19日。突然の閉店と「店主の私が今夏に移植手術が必要」という理由にSNSなどでは驚きと惜しむ声が相次いだ。

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 「来店されて声を掛けてくださったり、花や手紙などをいただいたり。中には涙ぐむ人もいて、とてもありがたかったが、こんなに反響があるとは思ってもいなかった」と話すのは店主の荘田賢介さん。腎臓移植手術を8月に控えているものの、現在は通常通りの生活を送ることができているという。

 手術が決まったのは今年に入ってからで、今後のことを家族ともじっくり話し合った。「医師からは時間を掛ければ社会復帰できると言われたが、今のようにフルに働くことは難しい上に、いつまた休んで迷惑を掛けてしまうことになるかもしれない」と区切りを付けた。

 同店は、編集プロダクション勤めだった荘田さんが30代で脱サラし2011(平成23)年に開いた。古本が山のように積まれたかつて古書店のイメージではなく、独自の感性でセレクトした書籍や雑誌、絵本、写真集、洋書などがおしゃれな雑貨店のように並ぶ。その土地に行かなければ手に入りにくいリトルプレスやzine(ジン)と呼ばれる個人が製作する雑誌などを取り扱うのも大きな特徴だった。

 店名の「モブロ」は「森(もり)」と「本(リブロ)」を合わせた造語。本の森で探す、本の森に迷い込むような楽しさに魅了され通うファンや遠方からの客も多かったという。

 荘田さんは、2012(平成24)年に始まったイベント「ブックカーニバルinカマクラ」の発案者でもあり、毎年実行委員長を務めてきた。同イベントは、一般の人などが店主となって古書を販売する「一箱古本市」や鎌倉ゆかりの作家などを招くトークショーなどを複数の会場で開き、毎年1000人以上が訪れている。

 8回目の今年は5月18日に開き、終了後の打ち上げの席で初めて閉店を告げたという。同席していた小田妙子さん(横浜市在住)は「ショックだった。自分が一箱古本市に出店するきっかけがこのカーニバルであり、古本の世界にどんどんのめり込んでいったのはモブロさんのおかげ。本当に残念」と嘆き、「でも体が一番なので大事にしてほしい」とも。

 5月22日に始まった閉店セールでは「まとめて大人買いしてくださる方もいる」と言う。常連だった西畑直樹さん(鎌倉在住)も数冊の本を抱え「思わず手に取りたくなる本が多くて好きだった。人気店だっただけに、経営不振ではなく閉店するのはとても残念」と話していた。

 「全くの素人からスタートし、お客さまに教えてもらうことも多かった。次第にお客さまとの駆け引きも含め古書店ならではの醍醐味(だいごみ)を感じながら楽しい毎日になった。今は本当にお世話になったという言葉以外ない」と荘田さん。「手術後のことは全く考えていないが、ゆくゆくはここでの経験を生かせる仕事ができれば」と話す。

 営業時間は10時~18時。月曜・火曜定休。最終営業日となる30日は「粛々と、いつもと変わらず閉店するつもり」と言う。

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