暮らす・働く

鎌倉でも「夜回りラン」始まる 防犯や健康増進、仲間づくりも

鎌倉大仏の高徳院前での記念撮影。「この時間に訪れたのは初めて」という参加者がほとんどだった

鎌倉大仏の高徳院前での記念撮影。「この時間に訪れたのは初めて」という参加者がほとんどだった

  •  
  •  

 鎌倉を愛する若者らが8月14日の夜、ランニングと防犯パトロールを兼ねた「鎌倉夜回りラン」で約1時間、市内を走り汗を流した。

スタート前に点滅するライトを用意する上岡さん。「光る集団が移動するだけで防犯になるはず」

 今回のイベントを企画したのは「鎌倉ヘイセイズ」。リーダーの上岡洋一郎さんは「ゆとり世代と呼ばれた平成生まれも30代を迎えている。仕事やプライベートの充実だけではなく、そろそろ地域貢献もしてみたいという話をするようになった」と言う。「具体的に何を始めるかは想定していなかったが、とりあえず同世代を中心にSNSでグループを作っみた」と続ける。

[広告]

 6月中旬、鎌倉花火大会のビーチクリーンの企画をしている際に知り合った「逗子30’s(さんじゅうず)プロジェクト」代表の田中美乃里さんから初めて「夜回りラン」の存在を聞いた。同年代の仲間が月1回集まり、防犯を兼ねて地域を走っているという。早速6月26日の同イベントに参加した上岡さんは「健康増進や防犯だけでなく、同じような思いを持った仲間がつながっていく面白さを体感した」と振り返る。

 「実は学生時代に市内であったある事件をきっかけに、防犯を兼ねて若者でも地域でつながる活動ができないかと考えたことがあった」と振り返り、「夜回りラン」がすでに藤沢市や綾瀬市、平塚市などでも行われていたことを知り驚く。「やりたかったのはこれだ」と気付き、すぐにイベントを企画した。

 「鎌倉ヘイセイズ」のメンバーを中心に広く呼び掛けると、想像以上の反響があった。当日は市内在住者をはじめ、逗子市や藤沢市、横須賀市、横浜市、大和市などから17人が参加。年齢は30~50代で、各地での経験者が多かったが、5人が初参加だった。

 20時に鎌倉駅西口広場に集合し、徒歩で飲食店の「味噌(みそ)屋 鎌倉inoue」(鎌倉市佐助)に移動。「一番のネックだったのが着替えや荷物を預かってもらえる場所だったが、厚意で申し出ていただき、ありがたかった」と上岡さん。この日のために用意した小型の点滅ライトを身に付け、棒状の誘導灯を手に一列になって大仏方面に走り出した。

 静かな住宅街を抜けて高徳院で一休みし、人通りが多い由比ガ浜通りと平行する路地を東へ進んだ。走りながら、時には立ち止まっては上岡さんが珍しいスポットや店を紹介。「思わぬ所におしゃれな店が点在し、さすがに鎌倉だと思った」「以前に歩いた昼間とは異なる風情で楽しめた」「観光客がいない鎌倉は初体験」「今回は海岸には出ないコースだったが、海の匂いを感じた」など、参加者は思い思いの感想を話した。

 大型台風が接近し天候が不安定な一日だったが、ランニング中の降雨は一度だけ。「シャワーを浴びるようで、かえって気持良くランニングを続けることができた」と参加者らは口をそろえた。約4キロのコースを1時間掛けてゆっくり走った後、「味噌屋 鎌倉inoue」に帰着。ビールなどでのどを潤しながら参加者同士の交流を深めた。

 市内から初めて参加した矢田孝次朗さんは「いつもは単独で走っていたので、みんなで走るのは楽しいことを実感した。すれ違う人に『こんばんは』と声を掛けると『こんばんは』『ご苦労様』とリアクションがあるのもうれしかった」と話し、「防犯とはいえ十数人のグループが夜の住宅街を移動するので、いかに迷惑が掛からないように走れるかを考えたい」と課題を口にする。

 上岡さんは「地域を知ることができ、防犯に、健康づくりに、仲間づくりにもなる『夜回りラン』が、これまで地元に無かったのが不思議なくらい。鎌倉から発信することで、ほかの地域にもどんどん広がっていけばうれしい。平日の仕事終わりなどに気軽に参加してもらえるスタンスで続けていきたい」と話す。

  • はてなブックマークに追加