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いつもと違う湘南の夏に「うっぷん鎮魂花火」打ち上げ 海の家関係者らがシークレットで

葉山港防波堤から上がった花火。背景は鎌倉(撮影:森崎清光)

葉山港防波堤から上がった花火。背景は鎌倉(撮影:森崎清光)

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 8月31日夜、江の島と葉山から「夏のうっぷん鎮魂花火in湘南」と題したサプライズの花火が打ち上がり、海岸周辺にいた人たちから大きな歓声が上がった。

江の島を背景に上がった花火のクライマックス。居合わせた人々、周辺の飲食店などからも歓声が上がった

 打ち上げ場所は、片瀬西浜の西プロムナードの白灯台と葉山港防波堤の赤灯台。19時から片瀬西浜で75発、19時15分から葉山で350発の花火が上がり、色とりどりに夜空を染めた。

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 5月27日に神奈川県が発表した海水浴場設置に関する新型コロナウイルス感染拡大防止のための対策ガイドライン。各自治体ではその遵守が難しいことから、25全ての海水浴場の設置を断念した。

 県の発表を受け、葉山、逗子、鎌倉、藤沢でも海の家をまとめる団体のメンバーらが集まり、対応について話し合いを重ねていた。その後、設置しないことが決まり「いつもなら忙しいこれからの2カ月をどう過ごしていったらいいのか、途方に暮れた」と話すのは由比ガ浜茶亭組合(鎌倉市)の増田元秀さん。「その中で出てきたのが、今回のプロジェクトだった」と続ける。

 江の島海水浴場協同組合(藤沢市)の豊原洋紀さんは「由比ガ浜さんからの花火の提案で、決して敵視しているわけではなかったもののライバルでもあった各エリアの団体がワンチームになった」と話す。由比ガ浜茶亭組合、江の島海水浴場協同組合、逗子海岸営業協同組合(逗子市)などと共に「来夏へ向けてプロジェクトオンライン花火実行委員会」を立ち上げた。

 コロナ禍での生活の不満を晴らし、上を向いて笑顔になってほしいと「うっぷん鎮魂花火」と命名。「医療従事者への感謝、この夏に湘南の海の安全・安心のために協力してくださった全ての事業者や関係者への感謝、未来に向けて頑張ろうという思いを込め打ち上げる」ために準備を進めた。

 開催日は、通常であれば海の家の営業最終日に当たる8月31日に決めた。「いつもと違う夏を過ごした区切りとして、花火を楽しんでほしかったから」と増田さん。8月12日にオープンした特設サイトでは、混雑を避けるため打ち上げる場所を「湘南エリア某所」とし、時間も前日に発表することに。湘南の海に来ることができなかった人たちにも花火を味わってもらおうとインターネット中継も行った。

 当日は夕方から厚い雲が垂れ込め一時小雨が降ったが、開始時間にはすっかり上がった。19時、最初の花火が上がると、海岸周辺にいた若者や家族連れから歓声が上がる。次第に海岸に人が集まり出し、クライマックス時には、江の島に向けて大きな拍手が響いた。

 15分後には西の逗子方面で花火が上がる。会社帰りにスマホで中継を見ながら由比ガ浜まで歩き、逗子側の最後の大輪を見ることができたという二宮香織さん(鎌倉市在住)は「ほんの少しだったが、オンラインとリアルのシンクロも体験でき、いつもと違う夏の思い出になった。花火を上げて中継までしてくださった皆さんに感謝したい」と話した。

 由比ガ浜で毎日ビーチクリーンを行い「60日間ずっと足元ばかり見ていたので、この日は久しぶりに空を見上げ気持ちが良かった」と笑う増田さん。今夏は心配された事故も大きなトラブルもなかったという湘南エリアの海岸。「先日、県と海水浴場県連とで来夏、海水浴場開設に向けて協議を重ねていくスタートラインに立つことができた。来年に向けて笑顔で進んでいける」と胸をなで下ろす。

 豊原さんは「湘南エリアは日本一のビーチだと思っている。その名に恥じないよう、そしていつものような皆さんの最高の笑顔に会えるよう、来年は安心・安全のための準備を万全にしてお迎えしたい」と前を見据える。

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