フランス料理のレストランデザートを提供する「Regalez-Vous(レガレ ヴ)」(鎌倉市御成町)が9月19日、鎌倉の御成通りにオープンする。
特別席「ステージR」前のキッチンでオーブンの前に立つ店主の佐藤亮太郎さん
オードブル、メインディッシュ、デザートの3部構成でテーブルに提供されるフランス料理のうち同店は、デザートに特化。スイーツなどの提供のほか、焼き菓子やケーキ、パンを販売する。
パティシエで店主の佐藤亮太郎さんは、東京都北区の洋菓子店に生まれ、フランス菓子店「ルコント」(東京都港区)でパティシエとしてのキャリアをスタート。26歳で渡仏、1766年創業でパリ最古のレストランとされる「ラペルーズ」などのパティスリーやレストランで腕を振るい、現在は飲食店のコンサルティングも手掛けている。
渡仏から26年を経て自身のプロデュースによるパリで、同じコンセプトの店を開こうと準備していたところ、コロナ禍に見舞われた佐藤さん。先が見えず悩んでいたとき、「ルコント」時代の同僚で鎌倉在住の友人から市内の店舗の空き情報が届き、フランスから一時帰国したという。
帰国し現地に足を運ぶと、店は通りから少し奥まった場所で、アプローチにはフラワーショップがあり、「パリの風景に似た一画だった」と佐藤さん。「鎌倉は遠足やデートで訪れたり、帰国時に遊びに寄る程度だったが、改めて歩いたり人とつながったりしてみると、文化や風土にフランスとの共通点が多いと気付いた」と振り返る。
佐藤さんは「どちらも歴史があり、古い建物もある。おいしい店が多く、こだわりを持つ人がたくさんいて、一つ一つの物やことに物語がある。パリでやろうとしていた店が、鎌倉でなら実現できる」と今回の出店を決めた。店名は、フランス語で「どうぞ心ゆくまで味わい満喫してください」という意味で、パリでの出店のために用意していた屋号をそのまま使う。
同店の店舗面積は約110平方メートル。入り口の扉を開けると左手と正面には、パンや焼き菓子、サンドイッチなどのショーケースが並ぶ。右手にはイートイン用のテーブル席8席があり、ドリンクも用意する。
提供するメニューのうち、肉や魚、野菜やフルーツを挟んだサンドイッチ(テークアウト=860円~)は、フリット付きでイートイン(1,800円)もできる。クロワッサンをはじめとするヴィエノワズリー(=菓子パン、400円~)は、常時10~15種類を並べる。佐藤さんは「8時からカフェオレ(600円)と共にパリの朝食を楽しんで」と話す。
奥のホールより一段高く、キッチンが見渡せる木製のカウンター席7席は「特別席ステージR」と命名した。ステージRでは、「オーダーを受けたスイーツをが目の前で作る」と佐藤さん。「提供する側も、お客さまの顔を見ながら会話できるようになりそうで楽しみ」とも。
ステージRで提供するスイーツの一つが「パリ左岸のスフレ(3,000円、ドリンクとオレンジソルベ付き)」。佐藤さんがシェフパティシエとして「ラペルーズ」在籍中の2014年、復活させたスフレで、もともとフランスの百科事典にも掲載されていたという。佐藤さんは「店でも代々受け継がれてきたものの、注文する客が少なくなっていた。レシピを見直して提供したところゆっくりと人気が復活し、現在では「ラペルーズ」のサインが入る唯一のデザートとなっている」と説明する。
「ラペルーズ」と同じレシピで作るスフレは、「オーブンに入れた後、ゆっくり膨らんでいく様子を9分間、席から楽しんでもらえる」と佐藤さん。膨らんだスフレは客の前に運び、中央にナイフで入れた切れ目にキャラメルオレンジソースを注いで仕上げる。
ステージRでは、「季節のクープ・グラッセ」(2,500円)、「フリュイ・ルージュのパブロヴァ」(2,800円)、「プロフィットロール」 (3,000円)なども提供。いずれにもコーヒーか紅茶を付ける。
「鎌倉で開店の準備を進めるうちに、好きな場所の順が、鎌倉、パリ、生まれ故郷の東京になった。鎌倉とパリをデザートでつなでいくのが、これからの仕事。行き来しながら、2年後には同じコンセプトでパリに2号店を出すつもり」と意気込む佐藤さん。「ほかでは珍しい特別なレストランデザートをまずはこの店で楽しんで」と来店を呼び掛ける。
営業時間は8時~18時30分。