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大船のイベントスペースで鎌倉在住の映像ジャーナリストがウクライナ取材を報告

リポートする自身の映像を流しながら話す新田さん

リポートする自身の映像を流しながら話す新田さん

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 鎌倉在住のフリーの映像ジャーナリスト新田義貴さんが5月8日、大船のイベントスペース「POP-UP SPACE in KAMAKURA(ポップアップスペース イン カマクラ)」(鎌倉市大船)で開かれた交流イベントで、取材したウクライナの様子を報告した。

映像を見ながら新田さんの話に聞き入る参加者

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 NHK報道局のディレクターだった新田さんは2009(平成21)年に独立。国内だけでなく、中東やアジア、アフリカの紛争地帯などを取材してきた。交流イベントの一環として開かれた報告会は感染症予防のため入場者数を30人に限定し、オンラインで同時配信を行った。

 新田さんが成田空港を出発したのは3月5日。ジャーナリストの遠藤正雄さんと共にポーランドのクラクフ空港から鉄道でウクライナに入り、10日からキーウで取材を開始した。報告会では「編集する前の素材をつなぎ合わせただけ」(新田さん)という現地の映像を紹介した。

 紹介した映像は、ロシア軍の攻撃によって破壊された建物や、市街戦に備え土のうを積み上げバリケード、避難せずに生活を続る市民の日常など。参加者からは「編集前の素材がかえってリアル」という声が上がった。

 3月末にはウクライナを離れたが、ロシアの占領で取材できなかったキーウ郊外の町・ブチャの解放を受け、単身で4月7日、国際夜行バスで再びキーウに向かったという。

 バスの車内で車掌が乗客に行き先を尋ねると、一人の子どもが「おうちに帰るの」と答え、車内が温かな笑いに包まれたという。新田さんは「隣席の女性も『みんなあの子と同じ気持ち』とつぶやき、故国へ帰る人々の希望がバスの中に満ちていた」と車内の様子を振り返った。その後、ブチャではキーウよりさらに激しい戦闘の爪痕を撮影したという。

 新田さんは「紛争地帯に行く理由は惨状をリアルに伝えたいから。悲惨な状況下でも当たり前のように前を向き助け合う様子から垣間見える人間の美しさも伝えたいから」と話すとともに、「複雑な戦争だが、武力で人を傷付けることは許されるものではい」と力を込めた。

 報告の後、参加者からの質問に答えた新田さんは「皆さんからの鋭い質問に、自分自身もいろいろ学ばせてもらった」と話した。集まった参加費は、今後の取材費の一部に充ててもらおうと新田さんに手渡された。

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