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ハスに魅了された主婦が鎌倉で写真展 ハスの花だけの空間に

作品名「慈愛」。鎌倉鶴岡八幡宮の源氏池で、北条政子が葉の影に隠れて今も見守ってくれているイメージ

作品名「慈愛」。鎌倉鶴岡八幡宮の源氏池で、北条政子が葉の影に隠れて今も見守ってくれているイメージ

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 ハスの花の写真を撮り続ける山本かなさんの写真展「蓮(ハス)『今を生きる』~道~」が5月9日、若宮大路沿いの「道ギャラリー」(鎌倉市雪ノ下)で始まる。

ハス茶を作る家族の作業場で手伝う山本さん(右)

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 「ハスが大好きで、ほかのものは撮らない」と話す山本さんは、ハスに魅了されハスの花だけを撮り続けている京都生まれの主婦。同展では、国内外で撮影したハスの花の写真約30点を展示する。

 山本さんがハスの花の撮影を始めたのは2018(平成28)年。「ベトナム旅行で知り合ったハノイ在住日本人のSNSの投稿がきっかけ。6月になると一気にハスの花の写真が増え、見ているうちに生で見てみたいという気持ちが抑えられなくなり、飛行機の切符を手配してしまった」と話す。「現地では自転車の荷台に載せた女性から花を買ったり、池での収穫の様子を見たり、ハス茶を飲んだりした。日本にいるとき認識していたハスとは全く違う世界があり、人々の暮らしの中にハスがあふれていて感激した」と振り返る。

 その後、ただ見ているだけでは飽き足らず、ハノイ郊外でハス茶を作っている家族を訪ねて作業を手伝い、ハス池に足を運んで収穫も体験した。仏教国で国花が青ハスであるスリランカでは、ハスを求めて13日間、各地を巡った。寺院の礼拝では、参拝者が捧げたハスの花で献花台が埋め尽くされる祈りの光景に感動したという。山本さんは各地でシャッターを切り続けた。

 ハスの魅力について、山本さんは「泥の沼から水面に伸びる一本の軸を通し、大輪の花を咲かせる。毎日いろいろなことが起こる生活の中で、自分という軸を通して自分ならではの生き方があると教えてくれている気がする」と話し、「遺跡から発掘された種子も長い年月を経て発芽する。眠っているさまざまな可能性に気づいて、自分も花を咲かせようというメッセージに思える」とも。

 山本さんは、小学生の頃に見たNHK大河ドラマ「草燃える」の舞台である鎌倉が好きになり、子どもの手が離れたのを機に2021年、京都と鎌倉の2拠点生活を始めた。たまたまカメラを譲り受け、独学で撮影を始めたのもこの頃だった。

 鶴岡八幡宮(雪ノ下)の源平池はハスの名所でもあり、7月~8月には水面が見えないほどのハスで埋め尽くされる。山本さんは「かつては源氏池には白ハス、平家池には紅ハスが咲いていたそうだが、今は入り混じっている。敵対していた源氏と平家が長い時を経て、今は平和が訪れたように見え、ここではいつも穏やかな気持ちでカメラを構えている」と話す。

 「ハスが好きになり、鎌倉に導かれ、カメラを手にしてから本来の自分を思い出し、今を生きている実感がある」と山本さん。「プロのカメラマンではないが、誰にも負けないハスへの愛でシャッターを切っている。写真を見た人が、本来の自分に気づくきっかけになれたらうれしい」と来場を呼びかける。

 開催時間は11時~17時。観覧無料。今月14日まで。

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