子ども服の無料交換会をメインに持続可能な資源の循環・活用とつながる場づくりを目指す「サークルマーケット」が8月25日、鎌倉のカフェ「Another day kamakura(アナザーデイ鎌倉)」(鎌倉市御成町)のテラスエリアで開催される。
主催する「かまくらっぷ」(材木座)は、幼児を持つ母親世代が中心となって2015(平成27)年に設立。子育てに関する情報発信や地域イベント、防災に関するツアーなどを行ってきた。
同マーケットを始めたきっかけについて、同団体代表の中井美緒さんは「以前『ソンべカフェ』(御成町)で開いていた子ども服の交換会『スペースくるくる』を主催していた『atelierYAK(アトリエ ヤク)』(由比ガ浜)から、またどこかでできないかという相談だった」と話す。「Another day kamakura」から、地域につながるイベントができないかと依頼を受けていたこともあり、「ほかにも出店者を募ってマーケットにしてしまおう」(中井さん)と一気に具体化したという。
2023年7月に開いた第1回の来場者はわずか20人弱だったが、「ママたちの口コミに加え、毎月最終日曜に同じ場所で繰り返し開いたことで徐々に浸透していった」と中井さん。回を重ねるごとに持ち込まれる服も増え、今では毎回100人~150人が来場するという。今回で1年を迎える。
規模が拡大して問題も起こった。中井さんは「大人の服や汚れ・ほつれのひどい服、肌に触れる下着などは受け付けないという呼びかけが届かず、時間をかけての仕分けが必要になった」と話す。次の交換会に出せない服は福祉事業所に寄付したり、業者に買い取ってもらったりしているという。「それでも、前回は集まった150キロのうち残った50キロが今も我が家にある」と中井さんは笑う。
一方、大切な服には思い出などを書き込む「メッセージタグ」を付けてもらう工夫も施す。中井さんは「どうやって着ていたのか、こんな風に来てもらえたらという思いが伝わり、あげる側、もらう側の双方から好評。品質の維持にも貢献しているのでは」と分析する。
今回も子ども服の無料交換会をメインに、物販などのブースのほか、カーテンや家具などの製造工程で出る残布をアップサイクルしている「ZAMPU PROJECT(ザンププロジェクト)」(東京都渋谷区)から寄付された布を使い、同マーケットで継続して使えるタープを作るワークショップを行う。
展示エリアでは、「買う責任、使う責任、捨てる責任を考えるきっかけにしてもらうため」(中井さん)、この1年間で交換した子ども服に関する統計を目に見える形で掲示する。
東日本大震災のがれきの下から花開いたヒマワリの種を全国に広げた活動「ど根性ひまわりプロジェクト」の展示を第1回に行なった茅ヶ崎支援学校が、今回は「地域共生と防災」の活動を展示するほか、同校の学生や卒業生らを中心に結成されたバンド「ともいきかかりゆうとりんズWITE HARUKA(ウィズ ハルカ)」がライブ演奏も披露する。
「ソンべカフェ」の常連たちが結成したウクレレバンド「KOSSORI-KYON(コッソリキョン)」は、同イベントの前身である「スペースくるくる」が2021年に同カフェで始まった縁で出演する。
中井さんは「いつもより終了時間を延長する2時間をトークセッションやバンド演奏に充て、来場者や出店者、ボランティアみんなで盛り上がりたい」と話し、「ビアガーデンのようで気持ちがいいはず。夏休み最後の日曜を一緒に楽しみましょう」と来場を呼びかける。
「この1年で、お金ではなく物を介して多くのつながりが生まれた。ここからもっと物や人、情報がつながり、さらに子どもたちの社会体験の場となり、こうした風景があちこちに広がり、誰もが回遊できる街になっていけばうれしい」と抱負を話す。
開催時間は10時~19時。入場無料。雨天中止。持ち込むのは子ども服のみで、汚れやほつれがひどいもの、下着類、帽子やかばんなどの小物は対象外。