鎌倉海浜公園由比ガ浜地区で5月15日、マイクやアンプなど音響機材を使わない野外音楽祭「鎌倉プチロックフェス2016」が開かれる。
ミュージシャンと来場者の距離が近く一体感が生まれるのも特徴。「楽しい」「来年も出たい」というミュージシャンも多いという
海の隣にある同園(約2.5ヘクタール)内の6カ所にサイトを設置し、30組以上のミュージシャンが演奏する。各所で同時に演奏するが、アンプラグド(生音)のためそれぞれに影響はない。大音響での大規模な音楽フェスとは異なり、好きなミュージシャンの演奏を至近距離で楽しめるのが特徴。
実行委員のケンさんは同フェスを始めたきっかけを「自分の経営するバーは狭いのでマイクやアンプを使わずにライブをやっていた。するとCDやラジオ、ホールなどで聴く際には分からない生ならではのものが伝わってくる。この体験をより多くの人に共有してもらいたかった」と話す。
しかし屋外でのアンプラグドが成功するのか半信半疑のミュージシャンが多かったため一昨年は実験的に「第0回」として開いたところ評判が良く、昨年5月にあらためて第1回を開くと1000人以上が来場した。それぞれのサイトの前に来場者が集まり立ったり座ったりしながら聴くスタイルだけでなく、時にはミュージシャンも芝生に腰を下ろし車座になって演奏する姿も見られたという。
今回出演するのは日倉士歳朗さん、東京ローカル・ホンク、KAIさん、大久保理さん、雅紀与さん、倉井智佳子さん、さとうさちこさん、ソーセージ、Citta、moqmoqなど。来場者は会場内で好きな音楽を探して歩いたり、タイムテーブルを見て好きなミュージシャンが出演するサイトを回ったりできる。
サイトの周囲には同フェスに賛同した市内の店舗による飲食や物販の40ブースが並ぶ。「XROSK」「Brasscrie雪ノ下」「和彩 八倉」「峰本」「Daisy’s Cafe」「井上蒲鉾店」「麻心」などでの飲食も楽しみにする来場者も少なくないという。
ケンさんは「鎌倉には楽器店もCD店も無くなってしまい音楽にとっての危機感を覚えた。音楽の素晴らしさを一人でも多くの人に伝える手段として新しいスタイルのフェスを企画した」と話し、「子どものころ大工さんをはじめ職人の技を間近で見て興味を持ったり尊敬の念を抱いたりしたのと同じように、ミュージシャンの職人技に直接触れて感じてほしい。もし聴こえなければ聴こえる所まで、どんどん近づいていって一緒に楽しんでほしい」と呼び掛ける。
開催時間は11時~16時。入場無料。出演者やタイムスケジュールなどはホームページで確認できる。