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鎌倉のカフェ&ベーカリー内のオーダー靴店、ショールームをリニューアル

リニューアルしたショールームで片野翔平さんと妻の希美さん

リニューアルしたショールームで片野翔平さんと妻の希美さん

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 オーダーメードで靴を製作する工房「Shohei Katano(ショウヘイ・カタノ)」が昨年12月19日、鎌倉のショールームをリニューアルし、年が明けセミオーダーの受け付けを始めた。

横須賀の工房で製作中の片野さん

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 鎌倉駅からJR横須賀線に沿って大船方面へ北上し徒歩13分、静かな谷戸にあるカフェ&ベーカリー「テールベルトとカノムパン」の店内を進む。ショールームは、階段前で靴を脱いで2階へ上がったカフェスペースの一角にある。アンティークのテーブルや木製の棚に落ち着いた色合いの革製の靴が並ぶ。

 「ベーシックシューズコレクション。デザインは、ほぼユニセックスで、女性のサイズから用意している」と話すのは、横須賀市三春町に同工房を構える靴職人の片野翔平さん。「これらを元にフィッティング、体のバランス、足のサイズや形状の測定などを行いながら対話を重ね、より履き心地のいい一足を手作業で仕上げていく」と続ける。

 片野さんは大学卒業後、靴作りの専門学校で学び、卒業した2013(平成25)年に「Shy(シャイ)」のブランド名で活動を始めた。だが、「技術や理論は学んだものの、相対する客数を増やす必要を感じた」(片野さん)と、百貨店などにショップを展開する整形外科靴メーカーに就職。シューフィッターや店舗責任者として、ドイツ人マイスターと共に5年間、多くの顧客の靴選びに寄り添いながら経験を重ねたという。

 「そろそろメーカーの枠にとらわれることなく、自分のスタイルでの靴作りに挑戦しようと再び独立することにした」と当時を振り返る片野さん。専門学校を卒業した頃に靴をオーダーしてくれた「テールベルトとカノムパン」店主の中村美雪さんに近況を連絡した。

 その前日、靴磨きのワークショップに参加していた中村さんがたまたま手にしていたのは、かつて片野さんに作ってもらったお気に入りの靴だった。独立の話を聞いた中村さんは「ジャンルは異なるものの、ずっと長く付き合えるということがテーマの私たちとの親和性も高く、自信を持って紹介できる」と、ショールームとしての場所の提供を提案したという。

 片野さんは「カフェに来たら同じ空間にショールームがあり、しかも気軽に手に取って触れることができる体験はほかにはない」と、2018(平成30)年に再び「Shy(シャイ)」として活動を再開、2021年にはブランド名を自身の名前に変更した。

カフェで飲食する傍らで、オブジェのようにも見える靴が並ぶショールームに興味を示す客も多く、土日に在室する片野さんと話を弾ませることもあるという。

 リニューアルでは、セミオーダーを始めるのに合わせて、デザインやサイズの異なる靴の展示数を大幅に増やした。「シンプルで履き心地のいい靴が選びやすく、求めやすくなった」と片野さん。製作期間に3カ月から半年を要するフルオーダー(ビスポーク)に比べ、セミオーダーは1カ月半~3カ月で完成する。「とは言え、セミオーダーでも、初めて体験する人にとってはフルオーダーだと感じるくらい対話を重ねるつもり。靴をオーダーして自分にぴったりの一足を手に入れる喜びを実感してほしい」と続ける。

 片野さんは「十分な機能を備え、日常生活で使いやすく歩きやすい靴。何十年も履ける、いつでもその人の人生のそばに寄り添う靴を丁寧に作っていきたい」と話し、「まずは非日常ともいえる空間で、ゆっくり靴を眺めてもらえれば」と来店を呼びかける。

 価格は、フルオーダー=19万8,000円~、セミオーダー=7万7,000円~。

 カフェ&ベーカリーの営業時間は12時~18時30分。火曜・水曜・木曜定休。土曜・日曜の12時~17時は片野さんとスタッフが在室する。

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