鎌倉由比ガ浜通りの古民家スタジオ・イシワタリ(鎌倉市長谷1)が10月10日、築88年を記念して「イシワタリ米寿祭」を開く。
1階の和室は8畳と6畳が2間に縁側。当日はふすまや障子を取り払って大広間として使う。日本家屋の良さを実感できる
同スタジオは、現在の管理人である福井隆也さんの祖父が1927(昭和2)年に建てた材木店の事務所兼住居。玄関扉に引き戸ではなくドアが採用されていたり、出窓の上部にステンドグラスがはめ込まれていたりするなど、当時の鎌倉に多かった別荘で取り入れられていた洋風様式を見ることができる。しばらく使われていなかったが、「使って残す」をコンセプトに4年前、イベントスペースとして再生させた。
現在は、展示会やワークショップ、期間限定のカフェや食堂、ライブ、映画上映、ウエディングなどさまざまなイベントに使われている。時にはテレビドラマのロケや雑誌のグラビア撮影などに使われることも。
今回のイベントは、今年が築88年目で米寿に当たることから企画した。1階和室では「白ねこ亭」の米寿ごはん、「umibuta cafe」のパンとスイーツ、「湘南ファーム」の日本のチーズとワインなどを提供。同洋間では屋根裏の倉庫から発見されたお宝や懐かしい昭和の品物を展示。玄関横に入居している「アトリエゑん」製作の「イシワタリTシャツ」は880円で販売する。2階では「しまんと新聞バッグ」のワークショップを行う。
当日は、写真家でもある福井さんと妻でライターの石渡真由美さんが制作した24ページの小冊子「イシワタリ米寿1927~2015」を無料配布する。
石渡さんは「古民家スタジオ・イシワタリを始めて4年がたった。近年、古いものがどんどん姿を消していく鎌倉で、古民家を取り巻く環境は厳しくなる一方だが、『古き良きものは使って残す』をコンセプトに、これから先もこのたたずまいのまま残していけたら。米寿祭では多くの方にお越しいただき、日本家屋の緻密性や機能性、そして優雅さを肌で感じていただければ」と話す。
開催時間は10時~21時。「白ねこ亭」の食事と「しまんと新聞バッグ」は満席。