デザイン会社のDEBAYASHI(鎌倉市笹目)は5月5日、鎌倉を観光するように遊べるボードゲーム「カマクラコレクション」を発売した。
ドイツで開催される世界最大級のボードゲーム展示ショー「SPIEL’18」にも出展予定。バージョンアップ版の製作にクラウドファンディングにも挑戦するという
鎌倉市内を観光や食べ歩きで巡りながら各ポイントのコインを集めて得点を競う同ゲーム。「四季折々の鎌倉散策を疑似体験しながら楽しめる」と話すのは同社社長の川村有さん。「知らない場所を知り実際に行ってみたくなったらうれしいし、地元の人は自分の街の良さを再認識できるはず」と続ける。
川村さんがアナログゲームと出合ったのはテレビゲームが全盛だった小学生の頃。母親と出掛けたデパートのおもちゃ売り場で初めてボードゲームを手にした。「残念ながら買ってもらえなかったので裏書きを読んで覚え、帰宅後に想像してゲームを自作。学校で友だちとやっては不具合が出るたびに改善して楽しんでいた」と笑う。
「飽きるまでやり尽くした」後はゲームもデジタルに戻り、専門学校卒後は仕事でも映像演出やソフトウェア開発、ウェブデザインなどデジタル系の業務を経験した。ボードゲームが静かにブームになりつつあった数年前、再び目覚めて「気が付いたら約200個も購入」、400以上のゲームで遊んでいた。「一人では遊べないので、必ず誰かと顔を合わせて楽しむコミュニケーションツール」がアナログゲームの特徴だという。
これまでの自分の経験と技術があれば「子どものころに憧れていたボードゲームが本当に作れる」と本格的に製作を始めた。クラブDJになって理想のイベントを目指す「オーガナイザー」を皮切りに、ホテルのオーナーとして最高のホテルを建設する「パーフェクトホテル」などに続き、同ゲームが4作目。「2010年に妻が生まれ育った鎌倉に移住したこともあり、新作は地元に根付いたテーマで」と企画した。
「難しかったのは疑似旅行とリアルの整合性。架空の町ではなく、自分たちが生活している鎌倉だけに忠実に再現することにもこだわり、工夫のしがいがあった」と振り返る。対象年齢は14歳以上だが「7歳の息子を含め家族で遊んでみると、分かりにくいところが浮き彫りになり修正を重ねた」という。住んでいると身近な地名も東京在住の友人には分からないことも判明し、簡単なガイドブックも添えることに。
鎌倉市の2017年度「鎌倉市商工元気アップ事業」に認定、鎌倉市のふるさと納税の返礼や鎌倉市の健康づくり支援アプリ「かまくらヘルシーポイント」の景品にも選定された。
川村さんは「世代を超え人種を超えていろいろな人に楽しんでもらいたいので、分かりやすいデザインにこだわり英語の説明書も付けた。今後もメードインジャパンのゲームを世界に発信していきたい」と意欲を見せる。
価格はオープン価格(実売価格5,000円前後)。鎌倉駅東口「松林堂書店」や小町通りの玩具店「おもちゃのちょっぺー」のほか全国のボードゲーム専門店でも購入できる。