鎌倉の小町通りに6月、精神障がいに特化した就労継続支援A型事業所「ココピアワークス鎌倉」(鎌倉市小町2)が開設され、利用者はデジタルワークに取り組んでいる。
端末に向かって作業する利用者ら。美容院だったことから壁には今も鏡が
メンタルヘルス関連事業を行う「ココピア」(東京都港区)がデジタルワークに特化して就労支援する「ココピアワークス」を設立後、初めて開設したのが同事業所。鎌倉を選んだ理由を同社の佐藤康秀さんは「ITを利用したデジタルワークは端末さえあればどこでもできる。海や山があり環境に恵まれストレスなく過ごせて、しかも近年IT系ベンチャー企業も進出していることなどからメリットが多い」と話す。
同事業所があるのは観光客でにぎわう小町通りに建つビルの3階で、以前は美容室だった。「たまたま巡り合った物件だが室内は落ち着いた雰囲気。中にいると小町通りにいることを忘れてしまいそうになる」と笑う。
「環境さえ整えば障がい者でも健常者と同じ、もしくはそれ以上に能力を発揮できる」という創業者の思いを背景に、今後も需用の拡大が見込まれ就労機会が得やすいこと、時給が高いこと、利用者が自分のペースで進められることなどからデジタルワークに特化したという。全国的にも珍しいケースで「鎌倉をロールモデルとして、今後は全国に広げていきたい」と意気込む。
業務は、記事のライティング、画像や動画編集、デザインや広告制作、SNSの運用、プログラミング、アプリケーションのバグチェックやエラー対応、インターネットリサーチ、資料作成など。さまざまな企業からインターネットを利用した事業を受託しており、利用者の希望やレベルに合わせた業務やスキルアップにも効果的な業務を提供し、今後は一般企業への就労も支援していく。
定員は17人で、現在は近隣の横浜、逗子、葉山、都内などから6人が通っている。「せっかく高い時給でも短時間しかできないということがないように、本人の体調を見ながら働きたい人には1日8時間の労働機会を提供したい」という。利用者にはスタッフが業務アドバイスとメンタルケアの両面をサポートしていく。
佐藤さんは「障がいがあるがデジタルワークが得意な人に、いかにアプローチしていくかが課題」と話し、「利用者さんがこの事業を通していろいろな人に会っていろいろな生き方に触れて、自分のベストの状態を作るきっかけになれば。まずは見学から」と呼び掛ける。