鎌倉の会員制図書室「かまくら駅前蔵書室」(鎌倉市小町1)で12月9日、市内で販売されているシュトーレンを集めシェアして食べる「鎌倉のシュトーレン食べ比べ会」が開かれた。
参加者数よりも一切れ多くカットして並べて断面を鑑賞。パン店だけでなく洋菓子店の名前も見える
シュトーレンは、酵母の入った生地に酒に漬けたフルーツやナッツなどを練り込んで焼いたケーキで、ドイツやオランダではクリスマスに向けて毎日スライスしながら食べる。市内のパン店や洋菓子店でも冬季を中心に販売する店が増えている。
企画したのは、新しい店ができたと聞けばどこへでも飛んで行くというほどパンが好きな重田優美子さん(横浜市在住)。「定期的にテーマを決めてパンを持ち寄りシェアして食べる会に参加していたが、お気に入りの店が多い鎌倉でもあればいいと思っていた」と話し、「焼きたてのパンを一度にたくさん集めるのは難しいが、日持ちするシュトーレンなら自分でもできそう」と自らワークショップに仕立てた。
前日までに買い集めたシュトーレンは11種類。贈答用に使われることもあるため包装に凝ったものも多い。入室して来る参加者は、テーブルに積まれたシュトーレンを見て「こんなにたくさん集めるなんて」「ぜいたくな体験になりそう」と驚きの声を上げ、早速スマホで撮影していた。
砂糖を多く使うことで水分を抑え日持ちするもののカロリーは高いという話の後、「体重計とメジャーを用意したので、まずは健康診断を」との声に会場は静まり返る。重田さんが取り出したのは料理用の計量器。「せっかくなので一つ一つの重さ、長さ、ウエストサイズを記録しておきたい。ご協力を」と説明すると、会場は安堵(あんど)の声と笑いに包まれた。
ナイフを入れると参加者が手元をのぞき込み、断面があらわになる度に歓声が上がった。「何が入っているかが一目で分かる。ネットで検索する際にはいつも『シュトーレン』『断面』と入力する」という重田さんの言葉に大きくうなずく参加者も。
3種類ずつカットして皿に載せ食べ比べをしていく工程を4回(最後は2種類)繰り返した。「店によって特徴があり面白い」「かなり甘いけれど飽きない」「しっとり感に差がある」「どれもおいしくて甲乙(こうおつ)付けがたい」「お酒に弱いのに食べ過ぎてほろ酔い気分」などと口にしながら、参加者は普段はできない食べ比べをたっぷり楽しんでいた。
横浜から参加した小田靖子さんは「大きいし値段も高いので一度おいしかった店で毎年買っていた。今年は新たなチャレンジができると思って参加したのに、どれもおいしくて迷っている」と笑った。
「感想は聞いたが票が割れ、一番人気は決まらなかった」と重田さん。「鎌倉だけでもシュトーレンがこんなにおいしい店がたくさんあることを確認できた。残念ながら買って来ることができなかった店もまだまだあるので、またやりたい」と早くも来年に向けて眼を輝かせる。参加者の多くが「これから買って帰る」と、配られた地図を手に笑顔で会場を後にした。