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大型冷蔵庫完備で角打ちや酒蔵のおいしさを 鎌倉に利き酒できる飲食店

真新しいのれんの掛かる店頭に立つ青柳さん。頭上には蔵元で新酒ができたことを伝える杉玉も

真新しいのれんの掛かる店頭に立つ青柳さん。頭上には蔵元で新酒ができたことを伝える杉玉も

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 鎌倉由比ガ浜通りに3月6日、神奈川県内の地酒を中心に全国の日本酒を利き酒しながら楽しめる飲食店「利酒処枡枡(ききさけどころ ますます、利は口へんに利が正式表記)」が開店した。

神奈川の全13と各県の蔵元の日本酒を常備する大型冷蔵庫。背後のコンクリート壁を壊して搬入した

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 「店のイメージは角打ちと酒蔵(さかぐら)」と切り出したのは店主の青柳静佳さん。「おいしいお酒をおいしいまま楽しんでもらうために、一般的な居酒屋とは異なるスタイルにした」と続ける。

 「蔵元で飲む日本酒がおいしいのは当然だが、酒屋にあるカウンターの角打ちで飲むのもとてもおいしいのはどうしてだろう」と、以前から疑問を抱いていたという。答えを導き出してくれたのは、10年ほど前に出会った広島にある蔵元の杜氏(とうじ)だった。

 「自分が造った酒を飲食店で飲んだらおいしくなかった」と聞かされ驚く。日本酒は温度を含め品質管理が重要であることを説かれた。一般的な飲食店では常温の店内に並べているケースが多く、酒屋では冷蔵庫で保管されていることにあらためて気付いた。将来自分で飲食店を始める際には「絶対に酒屋仕様の冷蔵庫を設置しよう」と考えていたという。

 3年前に鎌倉に引っ越してきてから物件を探し見つかったのは、鎌倉文学館入り口交差点脇の元雑貨店。物置になっていたバックヤードを片付けると半地下の部屋が現れた。酒蔵風にデザインし、大型冷蔵庫を設置することに。「ところが1階からは運び込めないことが分かり、結局半地下の壁を壊して搬入する大掛かりな工事になってしまった」と笑う。

 2台用意した冷蔵庫の一方には神奈川県内の全13酒造メーカーの日本酒を、もう一方には国内ほぼ全県の酒造メーカーの日本酒を常備している。

 メニューは、2しゃく(35cc)のちょこ3つの「本日の利き酒セット」(700円)、5しゃく(90cc)のちょこ1杯の「おすすめ」(450円~)、グラス生ビール(500円)など。「地元の日本酒のおいしさを再発見してほしい」と、県内銘柄を中心に青柳さんが毎日セレクトする。

 つまみは、浅漬け、冷やしトマト(300円)、板わさ(320円)、めかぶ(340円)、厚揚げ焼き(350円)、ごま豆腐(360円)、ジャガバター(380円)、チャーシュー(450円)、刺し身(460円)など。「全てカウンターでの前払い制で、いかにも角打ちっぽく」と笑顔を見せる。

 店舗面積は約28平方メートル。席数は、1階が7席(カウンター3席、テーブル4席)、半地下がテーブル8席。混雑時には店先のベンチ4席も。当初は角打ちらしく立ち飲みスタイルにするつもりだったが、「地元の人も観光客もよく歩いている姿を見て、開店1週間前に椅子を置くことにした」と言う。「入って来てホッとした顔で着席するお客さまを見て、置いて正解だった」と振り返る。

 店内の棚では、和風雑貨や文具、日本酒や店主が好きな落語の書籍なども販売する。ゆくゆくは知り合いの落語家を呼び「落語会&飲み会」を開く計画も。

 青柳さんは「よりおいしく飲んでもらうことで造り手の思いをしっかり届けたい。とはいえ純米酒中心でつまみも家庭料理なので、気取らずに楽しく飲んでいただけるはず」と話し、「夜はどうしても深酒になりがちなので、健康的に飲める『大人の昼飲み』もお勧め」と来店を呼び掛ける。

 営業時間は12時~20時。火曜定休。

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