米マンハッタンの出版社「MUSEYON(ムセイオン)」から7月、東京周辺のスポットを独自の視点で紹介したガイドブック「TOKYO MINDSCAPES(トウキョウ・マインドスケープス)~東京心風景~」が発売され、鎌倉も紹介されている。
鎌倉の材木座海岸は松井さんのお気に入りの場所。「東京からわずか1時間で気持ちのいい海に出合える」
写真撮影と紹介文を執筆したのは、日本とニューヨークを行き来しながら活動している写真映像作家の松井みさきさん。「アートとニューヨーク」「映画と旅」などテーマを絞ったユニークなガイドブックや日本の児童書を英語圏向けに編集し出版している同社からオファーがあった。
松井さんは「自分の作風を知った上で、オリンピックを控えて写真集仕立ての東京周辺のガイドブックをという話をいただいた」と話す。「せっかくなので誰もが知っている場所だけでなく、ローカルな視点や散歩する人の視点でのマイナーなスポットも紹介したいと考えた」と続ける。
都内と周辺で候補地をピックアップし、2017(平成29)年春から今年1月まで110カ所に足を運び撮影。69カ所に絞って100点以上の写真を春夏秋冬に分け掲載した。
有名スポットの一つでもある増上寺(東京都港区)も、「ガイドブックといえば寺らしく正面からのショットが一般的なところを、歩いていて見えるままにあえて隣の東京タワーを入れて撮影」し、実際には古いものと新しいものが隣り合わせにある面白さも捉えた。「さらに桜を入れることで、お薦めの季節も提案した」と言う。
鎌倉材木座海岸を選んだのは「都心からわずか1時間でこんなすてきな海や自然に出合えることを知ってほしかったから」で、「実はニューヨークから1時間ほどでサーフィンができる場所があるのと似ていて、どちらも知らない人は驚く」のが理由だという。
松井さんと鎌倉や湘南との縁は、社会人になってたまたま観光で訪れた江ノ島で岩場がキラキラと輝く風景に感動したことがきっかけ。「海が好きで七里ガ浜のビーチで一日ボーッと過ごすこともあった。いつかは鎌倉に住みたいとも思い」通ったという。
プロの作家になってからは、鎌倉山の学童保育「鎌倉学び舎」で子どもたちに教えたり、大人向けの写真撮影セミナーを開いたり、知り合ったサーファーで三味線演奏家の男性のドキュメンタリーを撮影したりとますます縁が深まっていった。
同書には、ほかにも鎌倉大仏や明月院なども掲載。鶴岡八幡宮は「定番の朱色だけではない風景を」と象徴的な社殿よりも、あえて参道の灯籠や松の木にフォーカスしている。
巻末には撮影時のカレンダー、撮影ポイントマップ、最寄り駅などのアクセス、歴史や関連用語集なども付けた。
松井さんは「外国人が見ても日本人が見ても心地よく美しいと思えるような場所や季節などを紹介した。見ている人の気持ちに寄り添うような写真をイメージして『東京心風景』と名付けた。見てリラックスし、実際に足を運んでいただければ」と話す。
B5変版180ページ。日本での販売価格は2,000円前後を予定。日本では紀伊國屋書店、TSUTAYA、丸善、ジュンク堂などで販売。アマゾンやムセイオンのオンラインサイトでも購入できる。
6月29日に紀伊國屋書店ニューヨーク店で、7月11日に新宿のTSUTAYA BOOK APARTMENTでトークショーとサイン会を開く。鎌倉でも発売記念イベントを企画中。