鎌倉小町通りの路地を折れた奥にあるフリースペース「プレイン鎌倉」(鎌倉市雪ノ下1)に9月8日・15日・22日の3日間、まぜそばやコーヒーを提供する「MAZESOBAカフェ」がオープンする。
今回のユニフォームを着る、パートナーの綿貫扶佐子さん。実家の焼き鳥店で働いてきた経験を生かして接客中心に担当する
出店するのは、大田区在住でラーメン店に勤務する河野充男さん。きっかけは、自宅に近い行きつけのカフェでたまたま隣り合わせになった、プレイン鎌倉スタッフの高橋勝彦さんとの出会いだったという。「路地裏で客を呼び込むのに苦労する立地だと聞き、逆にやる気が湧いてきた」と笑って振り返る。
鎌倉には観光で訪れたことしかなかったが、あらためて歩いてみると「歴史がありながら、新しい風も吹いていると感じた。特に路地には個人経営の面白そうな店が点在していた」と話す。入ってみると「どこも店主にバイタリティーがあふれていた。通りに面して客を待っている姿勢のチェーン店が多い中、路地の個人店はこちらに向けて矢を放っているようにも見えた」と続ける。
河野さんは仕事で全国を回っていた若い頃、各地でラーメンを食べて大好きになった。20代後半に二足のわらじでラーメン店で働くようになり、その後「横浜家系」の店に転職して本格的にラーメンの道に。現場だけでなく店舗開発などにも携わり、現在は喜多方ラーメン店で働いている。
「ラーメン好きはチェーン店ではなく、オリジナリティーを求めて店を探している」ことを日々の仕事で実感。40代半ばになり、独自のスタイルでの独立を考えていたところに高橋さんとの出会いがあった。「2年後には地元の大田区で倉庫を使って、イベントもできるカフェと麺類の融合した店を出すつもり。今回はそれを見据えてのチャレンジ」と意欲を見せる。
店舗面積は23平方メートル。席数は16席(店内10席、テラス6席)。メニューは「まぜそば」(900円)、「冷やしカレーまぜそば」(1,100円)など。キッチンが狭いため「スピーディーに提供できるメニューに絞った」と言う。ドリンクは、コーヒー(380円)、「トロピカルコーヒー」(400円)のほか、百貨店のイベントや通販でしか手に入らないという、プロレスラー藤波辰爾さんプロデュースの「藤波家のみかんジュース」(500円)も用意する。
壁面には、「横浜でたまたま入った喫茶店の壁に掛かっていた江ノ電の絵に一目ぼれして連絡を取った」という北英明さんの絵画を展示する。北さんは自動車メーカーのカレンダーを担当するなど活躍中の画家で、今回は鎌倉や湘南の風景画などを並べ販売も行う。「待ち時間もたっぷり楽しんでもらえるはず」と胸を張る。
22日は有名コーヒーショップを渡り歩いている若いバリスタが、マシンを持ち込んでスペシャルティーコーヒーを提供する。「彼とも高橋さんと知り合ったカフェが縁。今度はプレイン鎌倉でみんながつながり、それぞれが、そしていらっしゃるお客さまがみんなハッピーになっていければ」と話す。
用意された期間はわずか2カ月だったが、休日返上で準備を進めた。「やってみなければ分からないので、とにかくやってみる。やるからには全力で取り組む」と熱く語る河野さん。「味も、ボリュームも、価格も、空間も満足していただけるものを用意した。たった3日間だが、ここでも新たな出会いがあれば」とも。今回の様子を見ながら、今後も期間限定出店を検討したいという。
営業時間は、ランチ=11時~15時、カフェ=15時~17時。