鎌倉・若宮大路沿いに開業するホテルメトロポリタン鎌倉（鎌倉市小町1）1階に4月24日、「MUJIcom」と「Cafe&Meal MUJI」がオープンする。運営は「無印良品」を展開する「良品計画」（東京都豊島区）。

「社内でも、鎌倉でも、本当に会う人に恵まれている。オープン後もたくさんの方と出会いたい」と永尾店長

　「MUJIcom」は「無印良品」よりもコンパクトな店舗で、日用品や衣料品、食品などをセレクトして並べる。鎌倉の面積は約459平方メートル。「Cafe&Meal MUJI」は、素材そのものの味を生かしながらシンプルに調理したデリを中心にデザートやドリンクを提供する。鎌倉は約271平方メートル。同じフロアで両店を行き来できる数少ないケースという。

　「コンセプトは『地域のリビング』」と話すのは店長の永尾亮さん。「リビングは家族が集まり団らんし、客を招く部屋でもある。地域の人や日帰りの観光客だけでなく、上階がホテルのため国内外からの旅行者とも交流できる。そんな立地を生かし、さまざまな人たちがここで出会い、お互いを知ってつながりが生まれていく場に」と続ける。

　永尾さんが初めて鎌倉を訪れたのは2018（平成30）年の秋。鎌倉出店が決まり地域の課題を探るため、首都圏の「MUJIcom」店長10数人と一緒に歩いたときのこと。「メディアで見ていた観光地としての知識しかなかったが、意外に住宅が目に付いたことが気になり、その後も一人で何度か通った」と振り返る。

　「自分たちのやることは、住民にフィットすること。コンパクトな街だから、自分の行動次第で地域への貢献もはっきり見えてくるのではないかと考え、店長をやりたいと強く思い」手を挙げると、その後店長に任命される。

　準備のため鎌倉に転居してきたのは昨年11月。以来、「毎日ひたすら歩き回り、たくさんの人に会い、紹介されてはまた会い、さまざまな視点であらためて鎌倉を見ることができた」と言う。

　一方で、地元企業や飲食店の協力で地域の課題やアイデアを聞く場も設けた。「観光客に目が向いている商店が多く、地元の人が気兼ねなく過ごせる飲食店が少ない」という話から、家庭での食事を充実させるために通常「MUJIcom」では扱わない冷凍食品もラインナップすることに。「住民が休憩できる場所が少ない」という意見から「Cafe&Meal MUJI」は銀座店を上回るスペースで144席を用意した。

　さまざまな人が交流できるように、小商いやワークショップなど、物だけでなく人が集いつながり情報発信できる場として、約66平方メートルのオープンスペースも設けた。置き方によって椅子にもテーブルにもなるキューブ型の箱も多数用意した。

　大型店で月1回程度開いている「つながる市」も、「MUJIcom」としては初めて鎌倉で開く。「できれば毎週末、また平日も開き、いつも何かに出合える場にしていければ」と意気込む。「鎌倉に来て驚いたのは、会う人会う人がプロフェッショナルばかり。フリースペースもにぎやかになりそう」と期待する。

　パートやアルバイト採用の面接でも「ほかのエリアよりも、何かに長けている人が多かった」と印象を話す。鎌倉店オープンのニュースリリースのトップに掲載したイメージイラストも、今回採用したスタッフが描いた。「得意なことを、より生かせる働き方ができるような職場にしていきたい」と話す。

　「Cafe&Meal MUJI」では既存の仕入れ先にこだわらず、地元で採れた野菜や魚介類を使う。「スタッフが実際に生産者や漁師さんに会って仕入れるだけに、より自信を持って提供できる」と胸を張る。

　夕方からは、残れば廃棄となる食材を使うプレートを数量限定で1,000円で提供する。「廃棄しないことで生産者の皆さんにも喜んでいただけると同時に、昨今は忘れられがちな『食べ切る』という習慣をお客さまに意識していただければ」と考え、「たべきるプレート」とネーミングした。

　永尾さんは「鎌倉の飲食店や物販、民泊やゲストハウス、ホテル、寺社、福祉、行政などとも連携し、地域全体のネットワークのハブの一つになり、多様な人が行き交うユニバーサルな場に」と夢を語り、「たくさんの住民の方にも支えてもらい、一つ一つ手作りしながらオープンを迎える。ただ、オープンして完成ではなく、常に変化していく店にしたい。今後もご意見やアイデアをいただけたら」と呼び掛ける。

　営業時間は「MUJIcom」9時～19時（新型コロナウイルス対策として4/24は11時～18時、4/25から当面10時～18時）。 「Caf?&Meal MUJI」が6時30分～22時（同4/24は11時～19時、4/25から当面6時30分～19時、10時30分まではホテル宿泊者のみ朝食提供、一般利用は11時～19時）。