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鎌倉のフレンチレストランがワンコインから朝ごはん 創業時の夢実現

始まった朝営業中の店舗前で加藤さん。撮影中も自転車やバイクが左手奥の駐輪場に向かう

始まった朝営業中の店舗前で加藤さん。撮影中も自転車やバイクが左手奥の駐輪場に向かう

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 鎌倉のフレンチレストラン「STEREO Kamakura(ステレオカマクラ)」(鎌倉市小町1)で1月13日、朝食の提供が期間限定で始まった。

スープ・サラダ・たまご料理・コーヒーのセット

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 鎌倉駅東口の小町通りの脇に、朝早くから自転車やバイクがひっきりなしに通る道がある。行き止まりのため昼間の通行量は少ないが、突き当たりに市営の大型駐輪場があることで、駅から電車に乗る通勤客が利用する。

 この通りに面しているのが同店。店主の加藤賢一さんは「朝食を提供するのは、この場所に店を構えた3年前からの夢でもあった」と話す。「出勤途中に寄っていただけるので、軌道に乗って余裕が出てきたらと準備はしていたものの、さすがに始めるきっかけがコロナ禍だとは想像もしていなかった」と笑う。

 2017(平成29)年9月のオープン翌月から一度も赤字に陥ることなく好調を維持。ランチは地元客中心、ディナーは東京や横浜からの客も加わる人気店になった。昨年の初めには「春の観光シーズンを乗り切ったら、初めてまとまった休みを取って旅行する計画も立てていた」ところに、コロナ禍がやってきた。

 フランス在住の友人から現地の厳しい状況を聞くと、「日本も個人の店の経営というレベルではなく、世の中が壊滅しないように行動を起こすことが優先だと考え」、4月12日から店内営業を休止した。

 翌々日からテークアウトにも挑戦したが、「うちのように、出すタイミングで味わっていただく料理とは相性がいいとはいえなかった」と加藤さん。「それほど数が出るわけでもなく、用意したオードブルボックスにしても、そもそも毎日食べる類のものではないため、テークアウトには常に違和感があった」と当時を振り返る。

 その月の支払日になり、あらためて数字を見ると「このままでは立ち行かなくなるという現実を突きつけられ」がくぜんとした。「店がつぶれれば自分や家族だけではなく、従業員や大家さん、仕入れている業者さんなど、つながっている全ての人が不幸になってしまう」と、ゴールデンウイークには座席数を減らして再開した。

 売り上げは昨年の4~5割減ではあったものの何とか食いつなぐと、今度は「GO TO EAT」キャンペーンが追い風となり、一気に忙しい日々が戻ってきた。このまま秋の行楽シーズンや年末のパーティー需要への期待が高まってきたところで第3波が襲来した。 

 夜間営業を休止した上で、今回はテークアウトではなく、店内での朝食の提供に挑戦することにした。「まさかこういう形で始めることになるとは思わなかったが、とりあえず1カ月限定で」と意気込む。

 鎌倉で朝食を提供する店の多くは和食メニューが中心。「フレンチの料理人が作る朝食は珍しいはず」と、「『洋風』朝ごはん」と名付けた。「個人的な好みで、炭水化物中心でない朝ごはんも用意した」とほほ笑む。

 朝食メニューはセットが中心で、カンパーニュサンドイッチ・コーヒー(500円)、サラダ・コーヒー(600円)、スープ・自家製パン・コーヒー、卵料理・パン・コーヒー(700円)、カンパーニュサンドイッチ・スープ・コーヒー、スープ・サラダ・卵料理・コーヒー(800円)、スープ・サラダ・コーヒー(900円)など。卵料理は、フランス風スクランブルエッグやスペイン風オムレツなど日替わり。単品やコーヒー以外のドリンクもそろえる。

 カンパーニュサンドイッチやコーヒーはテークアウトも可能だが「少し早めに出て、店内でゆっくり召し上がってほしい」と、換気や消毒のほか、十分なソーシャルディスタンスを保つようテーブルをレイアウトした。

 市内在住の20代女性は「夫婦でテレワークなので食事はいつも悩みどころ。まさか朝から温かくておいしい洋食を食べられるなんて。一日のスイッチが入る感じ」と、卵料理とパン、コーヒーのセットを楽しんでいた。

 加藤さんは「出勤時はもちろん、朝の散歩の途中にも。夜の元気がなくなっている分、朝から元気になってほしい」と呼び掛ける。

 朝食は3月8日までの予定。朝の営業時間は7時~10時。通常の営業時間は11時~14時、17時~24時(緊急事態宣言下は20時まで)。火曜定休。

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