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鎌倉に能舞台を見下ろすカフェ マスターは能楽師

能面をラテアートで描いたカフェラテ。ほかに般若面も用意する

能面をラテアートで描いたカフェラテ。ほかに般若面も用意する

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 能舞台の客席を改装したカフェ「能舞台茶寮~神楽」(鎌倉市長谷3)が4月29日、鎌倉にオープンした。

能楽師の中森貫太さんがドリンクを提供する

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 能の専用劇場として1970(昭和45)年に開設された「鎌倉能舞台」の客席の一部を改装。公演だけでなく、能に親しんでもらうために施設内に資料展示スペースの設置、現代語訳や解説を投影する大型モニターの導入、展示会やセミナーなどイベントにも開放してきた同劇場が、誰もが気軽に立ち寄れるようにとオープンした。

 同劇場代表で能楽師の中森貫太さんによると、オープンのきっかけは同劇場の評議員・斉藤隆晴さんの提案。昨年10月に斉藤さんが亡くなり計画が立ち消えかけたものの、斉藤さんの長男・正朗さんと相談し、飲食店経営に詳しい評議員や知人から紹介を受けたフードコーディネーターらの協力を得てオープンにこぎ着けたという。

 客席のスペースは、能舞台客席後方の最上段のうち約20平方メートルを転用。建物の道路側の屋外にテラスを新設した。席数は16席(うちテラス席6席)。公演時にはテーブルと椅子を片付け、50席の能舞台客席として使う。調理場は劇場入り口と客席の間にミニキッチンを新設した。バリアフリートイレもある。

 中森さんは「閉めっぱなしだった道路側の戸を開けるようになり、能舞台に光が射し込み、風が入ってくるのが新鮮で気持ちいい」と話す。

 店で使う茶碗やコーヒーカップは、中森さんの高校時代の先輩で、魯山人の窯を引き継ぐ陶芸家・河村喜史さんの作品。コーヒや抹茶のいれ方を学んだ中森さんが中心となり店を切り盛りする。

 メニューは、コーヒー、紅茶、抹茶(以上小菓子付き800円、日替わり菓子付きは1,200円)、カフェラテ(同1,000円、1,400円)。ラテアートで能面2種類を描くカフェラテは、客のほとんどがスマホで撮影するという。中森さんは「価格を高めに感じるかもしれないが、資料の閲覧や週替わりで展示する能装束の観覧料の500円を含んでいる」と説明する。

 「先日はロードバイクで来店したお客さまがジャージー姿のまま舞台の前で記念撮影していた。カフェなどを併設する能楽堂や能舞台はあったが、常に舞台を見下ろせ、舞台前まで入れる施設はないはず。非日常の空間をたっぷり味わってもらえる」と胸を張る中森さん。「長谷観音や大仏の通りはいつも観光客でにぎわっているが、路地を入った当店は鳥のさえずりや風の音が聞こえるほど静か。鎌倉らしい谷戸の風情を味わいながら、舞台や能の世界にも興味を持ってもらえれば。要望があれば私が能について説明する」と話す。

 営業時間は11時~15時。月曜・火曜・水曜・金曜定休。テラス席はペット同伴可。

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