鎌倉駅西口の古民家をリノベーションした物件が現在、飲食店の開業を考える人を対象に貸し出されている。運営は不動産会社「COCO-HOUSE(ココハウス)」(鎌倉市御成町)。
同施設は、リノベーションした木造2階建て古民家の1階部分。1963(昭和36)年築で、ここ数年間は空き家だった。店舗面積は56.19平方メートル、席数は17席(うちカウンター3席)。厨房(ちゅうぼう)設備のほか器具やテーブル、椅子などを用意し、すぐにでも開業できる環境を整え5月末に完成した。
「鎌倉や湘南で出店したいという話をたくさんもらうが、経験のない人にはハードルが高いのも現実。以前からトライアルできる場が必要」と考えていたという同社の西本学央社長。「本当に店をやっていけるのか、何が足りないのか、どうしたら続けていけるのかなどを肌で感じてもらえる場にできれば」と、同施設を「お試しキッチン」として貸し出すことにしたという。朝、昼、夜と時間を限定したり、数週間、数カ月、数年と期間を決めて試したり、シェアキッチンとして複数人で使ったりすることもできる。
入り口正面には、テイクアウトにも対応できるよう陳列棚や冷蔵ケースも据え付けた。西本社長は「そこまでやらなくてもと社員には止められたが、飲食店を開業したい人の気持ちになって考えた。自分が開業した頃は苦労が多く、たくさんの人に助けてもらって今がある。大変さを分かっているからこそ、今度は開業を応援していくのが恩返しだと思っている」と話す。
「傷みがひどく、1年かかってしまったリノベーション中にも借り受け希望が数件あったものの成約には至らなかったが途中で投げ出すわけにはいかず、借り手がつかないまま完成させてしまった」と明かす西本社長。「ここでの経験を糧にして、ゆくゆくは鎌倉で自分らしい店を出してほしい。その店で飲んだり食べたりするのが夢。本気で開業したい人にそれぞれのスタイルで使ってもらいたい。賃貸料をはじめ条件などは相談を」と呼びかける。