「第10回東日本被災児童支援チャリティーコンサート」が6月3日、鎌倉の生涯学習センターホール(鎌倉市小町)で開かれる。主催は鎌倉市倫理法人会。
津波バイオリンの裏面には、陸前高田の奇跡の一本松の姿が描かれた
鎌倉での同コンサートは、東日本大震災から3年後の2014(平成26)年に始まり今年で10回目。同会副会長で実行委員長の白木大五郎さんは「震災後、仲間でずっと何か支援できないかと考えていたとき、『千の音色でつなぐ絆プロジェクト』を知ったのがきっかけ」と話す。
同プロジェクトは、バイオリンドクターの中澤宗幸さんが被災地の木材で製作した「津波バイオリン」を全国の演奏家1000人にコンサートで弾きつないでもらい、震災の記憶を風化をさせず支援を続けていくことを目的にした10年限定の取り組み。「そのうちの10回、わずか1%に過ぎないが、年1回でも貢献しようと手を挙げた」と白木さんは続ける。
実行委員会のメンバーらで資金を調達し、第1回は同会場に200人を集めた。以降、毎回異なる演奏家を招き、マジックショーを加えたり、津波バイオリンの関係者を招いて誕生秘話を語ってもらったりしたこともあるという。白木さんは「バイオリンとしてはまだまだ若いはずなのに、犠牲者への鎮魂の思いを込めて作られ弾き継がれているからか、実際に弾いた皆さんが異口同音に『独特の音色がする』と感想を語り、不思議な感動を覚えた」と話す。
コロナ禍で開催が危ぶまれた時期には、入場者数を制限したリアル開催とネット配信のハイブリッド型にすることで続けてきた。その間、白木さん自身もがんになったり、昨年は脳梗塞になったりしたが、「被災地のことを忘れない、被災地を支援したいという思い、毎回来場者からもらった『素晴らしかった』という言葉が励みになり、何とか続けてこられた」と振り返る。
今回の出演は、岡田鉄平さん(バイオリン)と鎌倉市出身で第1回でも演奏した皆川真里奈さん(バイオリン)、若宮百香さん(ビオラ)、篠崎央彡さん(チェロ)。マジックショーの上演、ショートムービー「TSUNAMI ヴァイオリンができるまで」も上映する。
白木さんは「今回はバイオリン2挺のほか、ビオラとチェロも全て被災地の流木などで作られた『TSUNAMI』ブランドのものばかり。それらがカルテットでどんな音を奏でるのか楽しみ。東日本大震災の年に生まれた子どもがもう中学生になるが、まだ避難している人もたくさんいる。音楽を楽しみながら、震災をもう一度思い出してほしい。これからの災害にも備えるきっかけにもなれば」と話す。
開演時間は13時30分(開場13時)、入場料は2,800円(小学生1,000円)、オンライン視聴は1,000円。収益金は「鎌倉てらこや」(大船)を通して東日本大震災被災児童や一部は国内外の被災地支援に寄付する。