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「湘南モノレール50年の軌跡」まもなく重版 書店に特設コーナーも

表紙は開業当時の写真。車両は小田急ロマンスカーや新幹線0系と同じ三木忠直さんの設計

表紙は開業当時の写真。車両は小田急ロマンスカーや新幹線0系と同じ三木忠直さんの設計

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 単行本「湘南モノレール 50年の軌跡~モノレール実験線が湘南ジェットコースターになるまで~」(神奈川新聞社)が5月22日に発売され、複数のネット書店で在庫がなくなったり、書店に特設コーナーができたりするなど話題になっている。

ジャーナリストで作家でもある著者の森川天喜さん

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 執筆したのは、湘南モノレール(鎌倉市常盤)が昨年発行した「湘南モノレール50年誌」の著者で、フリージャーナリストの森川天喜(あき)さん。「記念誌は読みやすい雑誌風に仕立てたものの、あくまでも企業としての視点だった。今回は、より多角的な視点で、湘南モノレールというレンズを通して地域の歴史を記すという使命感を持って書いた」と話す。

 1971(昭和46)年に全線開通した同路線は、大船駅から湘南江の島駅間6.6キロを約14分で結び、通勤客や観光客など年間乗降客数は約1000万人。世界的にも珍しい懸垂式(サフェージュ式)モノレールで、起伏の激しい丘陵地帯を最高時速75キロで走行するスピード感や浮遊感から「ジェットコースター」と呼ぶ人もいるという。

 同書には、半世紀以上も前になぜ湘南でモノレールが計画されたのかをはじめ、用地買収や資金調達、トンネルの難工事含めた路線建設など課題を一つ一つ乗り越えてきたドラマを描いた。森川さんは「会社や地元にたくさんの資料が残っていたことが大きかった。ノンフィクションの面白さを感じてもらえれば」と話す。

 本文のほか、経営母体が変わるタイミングで異業種から社長に就任した尾渡英生前社長に2日間10時間かけたインタビュー、ほぼ同時期に大船駅発着で1年半だけ運行し廃線となったドリームランドモノレールの物語なども収め、初代車両の設計者で、戦時中の爆撃機、戦後は小田急ロマンスカーや東海道新幹線0系などを手がけた三木忠直さんについては、「飛行機が姿を変えたモノレール」というタイトルで書いた。

 初版は1週間で全て出荷し、現在重版が検討されているという。有隣堂藤沢店で実用書部門の週間売り上げ1位を記録するなど好調。地元や周辺の書店では平積みだけでなく、特設コーナーにも置かれている。「新聞やラジオなどメディアからも声がかかるなど、反響は予想以上」と手応えを感じている森川さんは「大切に扱ってもらい、読んでもらえるのは著者冥利(みょうり)に尽きる」と感慨深げ。ネット書店各サイトでも一時は「在庫なし」が続いたという。

 森川さんは「鉄道本コーナーと共に地域本のコーナーに置いてもらっている書店が多いと聞く。開業当時や今を知らない人たちにも、何十年後かに語り継いでもらえるような歴史的資料として読まれたらうれしい」と話す。

 仕様はA5判、348ページ。価格は1,980円。全国主要書店で扱う。

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