陶製の小さな仏像を作っている廣江まさみさんの作品を集めた「108体のてのひらの仏さま展」が4月19日から、鎌倉の古民家「長谷別邸」(鎌倉市長谷)で開かれる。
仏像の身長は5.5~11.5センチで、両手で包み込めるサイズ。一つ一つ形状の異なる108体を、長谷観音や大仏に近い古民家に並べる。廣江さんは「ケースに入れてディスプレーするのではなく、部屋のあちこちに置く。小さな仏様を発見する楽しさを味わってほしい」と話す。「見つけたら、手に取って触れてみてほしい」とも。
廣江さんは、はがきや色紙に黒と朱色の筆ペンを使い文字の中に笑顔を描き込んで手渡す「笑い文字」の創始者。講座の受講生は全国で4万人を超え、600人以上の講師を育成している。
廣江さんが陶芸と出合ったのは、買い物帰りに立ち寄った商店街の小さなギャラリー。「並んでいた作品を見てやってみたくなり、作者の工房に通って習い始めた。最初は完全な趣味だった」と振り返る。「ところが最初に取り組んだ皿がうまくできず、別のものをと作り始めたのが、たまたま仏像だった」と話す。
2022年に東京・銀座で開いた「笑い文字」の個展で、当時作った小さな仏像を2体飾ったところ、購入したいという来場者が現れた。それ以来、作ると誰かに引き取られていくというサイクルが始まり、北鎌倉円覚寺の横田南嶺管長の手にも渡った。
「仏教に詳しくなく、陶芸の技術も高くない私が作ったものを、皆さんに欲しいと言ってもらえるのは不思議な感覚。中には、手にした途端に泣き出す人もいた」(廣江さん)ことから、本格的に仏像の作陶に取り組むようになったという。
1体の制作期間は3カ月~半年程度。廣江さんは「手のひらにそっと包んで、その日、その時の思いを素直に話しかけられるような存在になればいいと思いながら作っている。衣や飾りなどの細部にはこだわることなく、ポーズも自由」と話す。
当日は、108体の仏像を撮影したポストカードも販売する。20日17時からは「音魂瞑想」(要事前予約)を開く。
廣江さんは「会場の古民家を楽しみながら、一体一体を手に取って自分だけの仏様を見つけてほしい。美しい春の長谷で鎌倉らしさを味わってほしい」と来場を呼びかける。
開催時間は、19日=13時~17時、20日・21日=11時~16時。