鎌倉商工会議所会館(鎌倉市御成17)で4月21日から、第7回カマハクセミナー「鎌倉で木と暮らす」が始まる。全4回で、主催は戸井田工務店と設計デザイン事務所ATTA。
前回の様子。鎌倉に住みたい、移り住んで来た、古民家や工法に興味がある人など参加者はさまざまだった
「『カマハク』とは鎌倉に泊まるという意味」と話す同工務店社長の戸井田晃英さん。「30年近く東京に住み2015年に出身地の鎌倉に戻ったら、かつてたくさんあった宿泊施設が姿を消し、すっかり日帰りの観光地になっていたことに驚いた」といい、「泊まったり住んだりして朝晩の鎌倉の良さを体験できる家造りのきっかけにしたい」と、昨年始めたセミナーに命名した。
「鎌倉には今でも大きな敷地のお屋敷が残っているが、相続できずに解体・分譲され日本のどこにでもあるような住宅地に変貌している」といい、大きな敷地をそのまま活用するために戸井田さんが提案するのが「定期借地権付きでのタイムシェア別荘」。欧米では一般的なスタイルで、建物を所有しながら別荘をシェアできるのが特徴。歴史と文化の町・鎌倉らしさを残すために、日本古来の伝統構法で木造の別荘を建てたいという。
伝統構法とは、基礎に建物を固定せず、くぎや金物を一切使わない木組みで建てる工法のこと。「技術を次の世代に伝承するために一刻も早く実践したい」と現在、稲村ケ崎で同工法での木造家屋を建築している。
同家屋ができていく過程を撮影した「日本の『家』写真展~伝統溝法の家で受け継がれる、家族の時間と職人の技~」を鎌倉駅東口の不動産会社COCO-HOUSE(鎌倉市御成町)で、セミナーに先行して同17日・18日に開く。写真展示のほか、木組みの模型を手に取ることができるようにする。
4月21日の第1回は「『世界の人を惹(ひ)きつける鎌倉』の住まい~鎌倉で快適に住む暮らしのヒント~」では戸井田さん自らが鎌倉の魅力を伝えるとともに、風通しや窓の配置などで鎌倉での暮らしを快適にするさまざまな方法を提案する。
5月19日は「古民家を新築する~世界が絶賛する日本の伝統技術」。日本の伝統的な「石場建て足固め構法」で建てた家を全国で初めて構造計算適合判定に合格させた伊東裕一さんを講師として招く。
6月16日は「永く住み続けるための夢のマイホーム実現セミナー~家づくりは幸せづくり、幸せな人生を楽しむためのライフプランニング~」。建築業界出身のファイナンシャルプランナーで2600組以上の住宅相談実績を持つ篠原隆徳さんが理想の家を建てるための生活設計を提案する。
最終回の7月21日は「これからの『お金』と『リフォーム』『家づくり』勉強会~知って得する3つの税対策」と題して、先祖代々の土地を手放したくない、使っていない土地建物を活用する方法などを税理士の大久保圭太さんがレクチャーする。
戸井田さんは「興味のある回だけの参加もできるが、4回連続での参加がより効果的。家を建てたい人だけでなく、先祖代々の土地建物を所有している人、建てたり提供したりする側の人たち、鎌倉のまちづくりに関わりたい人にも参考になるはず」と参加を呼び掛け、「鎌倉に住みたいと思っていただくと同時に、鎌倉から伝統構法を全国へ発信していければ」と抱負を話す。
開催時間は10時~11時20分。参加無料。申し込み方法はホームページで確認できる。