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調理しない料理? 鎌倉でレンチンしただけのランチ「レンチンラン」写真展

狭い部屋の壁に写真パネルが並ぶ。来室者から笑い声が漏れる

狭い部屋の壁に写真パネルが並ぶ。来室者から笑い声が漏れる

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 鎌倉の会員制図書室「かまくら駅前蔵書室(通称カマゾウ)」(鎌倉市小町1)で2月13日、電子レンジによる解凍や温めだけで、全く調理をせずに盛り付けたランチの写真を展示した「レンチンラン展」が始まった。

アジフライが二尾載った「ご近所あじ比べ丼」の写真パネル。過去にはほかの店の組み合わせの実績も

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 室内の壁面にはCDサイズ大のカラフルな写真パネル60枚以上が所狭しと並ぶ。皿に盛られた料理の写真にキャッチコピーと料理名、具材の価格、カロリー数を記載している。

 「料理の写真に見えるが、実はレンチンしただけ」と笑って話すのは、同施設代表で写真展を開いた鈴木章夫さん。「電子レンジで解凍した冷凍食品や温めた総菜を一皿に盛り付けて、スマホで撮ってSNSに投稿していたもの」と続ける。

 同施設は、鎌倉ゆかりの本と鎌倉好きが集まる会員制図書室で、「私語厳禁」ではなく「私語解禁」。さまざまな年代や職業の会員同士がゆるやかに交流するコミュニティーで、「同席する相手に迷惑が掛からなければ何をしてもいい」こともあり、読書だけではなく、おしゃべりしたり弁当を持参したりする会員もいる。

 弁当を温めて食べたいという会員のリクエストで、昨年4月に電子レンジを設置した。「まずは自分で冷凍チャーハンを試してみたら想像以上においしくて、翌日から2品以上を組み合わせてランチを作るようになった」と振り返る。

 「せっかくだからフェイスブックやインスタグラムに投稿した」ところ反響があった。「卵に針で穴を開けてチンすると温泉卵ができますよ」「100円ショップにレンジでパスタをゆでる道具が売られていますよ」とアドバイスを書き込んでくれる友人もいた。

 「ありがたかったが、面倒くさがり屋なのでそもそも調理をする気は全くなかった」と話し、「『レンチンラン』と名付けたのも、ただレンジでチンするだけのランチだから」と笑う。

 「最近の冷凍食品はどれもおいしくてリーズナブル。スーパーの売り場で魅力的な商品を見つけると、早くレンチンランしたくなる」と言う鈴木さん。「高額な商品はそれだけで完成しているので面白みがない。安価なもの探して組み合わせるのが楽しい。いつも思いつきだが」とも。

 冷凍の焼きそばにあらかじめカットされている「タコさんウインナー」を載せて「海鮮焼きそば」に、冷凍のきのこパスタにチョコレート菓子「きのこの山」を載せて「きのこの山のボロネーゼ」に、ハヤシライスにブランド名が「アイコ」というミニトマトと肉だんごを載せて「林愛子と肉団子」になど、意外な組み合わせやネーミングも楽しみながら発信した。

 160作目を過ぎ「マンネリしてきたため、そろそろやめようかと考えていた」と言うタイミングで、たまたま知人の視覚障がい者(音声変換ソフト使用)からSNSに書き込みがあった。「火事を出さない、やけどしない、安全で立派な温かいレンチンランは大変助かります」との声に、「誰かの役に立っていたことに驚いて」続けていくことにした。

 今年になって200作目が近づき、「ネットではなく、誰もが目にできるような形で」と作品展を思いついた。室内の壁では会員が写真展や絵画展などを開いているが、「まさか自分でやるとは思ってもいなかった」と笑顔を見せる。「やるからには、今までになかったような展示に」と、写真内にタイトルやキャッチコピーを入れたパネルを並べ、「数で勝負」した。

 来室した小泉成史さん(横浜市在住)は「調理していない料理の写真とは思えない」と驚く。矢田彩乃さん(市内在住)は「この写真がメニューに並んでいたら注文してしまいそう。レンチンラン食堂をやってほしい」と話す。

 鈴木さんは「売っている冷凍食品や総菜なので、おいしいものばかり。それを組み合わせて失敗することもあるが、見た人が笑顔になってくれればいい」と話し、「期間中に食べたものも追加して展示するつもり」とも。

 営業時間は12時~20時。火曜・水曜定休。入室無料。3月2日まで。

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