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鎌倉の閉店した老舗書店「松林堂」跡に同名の居酒屋 次男が思い継ぎ

「ブックカフェならぬブック居酒屋ですね」と笑う店主の小田切堅造さん

「ブックカフェならぬブック居酒屋ですね」と笑う店主の小田切堅造さん

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 鎌倉で明治時代に創業し今年3月末に閉店した「松林堂書店」(鎌倉市小町1)跡地に7月30日、居酒屋「松林堂」がオープンする。

工事用シートが外れると現れたロゴマークに注目が集まった。ガラスに映るのは鎌倉駅の三角屋根

 6月中旬、閉店以来入り口を覆っていた工事用シートの一部が取り外され、「松林堂」のロゴマークが現れた。ロゴの上には「ごはんとお酒と、本と」の文字が添えられており、立ち止まって見上げる人が相次ぎ、SNSでも話題になっていた。

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 店主の小田切堅造さんは「『松林堂』以外の店名は全く考えていなかった」と話す。業態こそ変わるものの、書店時代の店主だった小田切壽三さんの次男が店名を引き継ぐことになった。「実はいわれも何も知らないけれど、子どもの頃から慣れ親しんできた名前だし、食堂向きなので」と笑う。

 松林堂書店は、1902年(明治35)年に鎌倉の観光ガイドブック「鎌倉大観」も発行。1976(昭和51)年に若宮大路沿いから駅前に移転し、今年3月31日まで営業を続けてきた老舗書店だった。「父から閉店することを聞いたときは寂しかった」という堅造さんだが、大学卒業以来、和食を中心に調理師として働いてきたこともあり、独立することで場所を継ぐ決意をする。

 結婚した2017(平成29)年、職場があった都内から湘南に転居。昨年から鎌倉市内の個人経営の居酒屋を手伝っていた。「料理そのものだけでなく、器の使い方、食材の選び方、盛り付け、しつらえ、季節を取り入れる工夫など学ぶことばかりだった」と振り返る。毎日地元客と接しながら、店の方向性を探っていった。

 コンセプトは駅前の立地を生かし、「ふらっと寄って軽く一杯やる立ち飲み」のイメージ。「ただ、居酒屋らしくない、明るく清潔感あふれる店内にしたかった」と、壁面は白をメインに。「書店時代のものも生かそう」と実際に使っていた本棚を配置したほか、ほとんどの壁面に本を飾った。

 並べた本は、妻の明菜さんと共にセレクトした小説、サブカル、映画、旅行、漫画などの古書。飲みながら読んだり、見たりすることを想定し、「ためにならないことはないが、学びのない本。説教臭い本は置かない」とほほ笑む。「たいした量ではないのに、並べたり、値付けをしたりしているうちに、あらためて本屋さんは大変な仕事だったんだなと実感した」と言う。

 店舗面積は約73平方メートル、席数は28席。「書店時代は狭い感じがしていたが、思った以上に広い印象。2人で回せるのか心配になってきた」と堅造さん。当面は新型コロナウイルス感染拡大の予防策として18席(カウンター4席、テーブル席14席)に減らしてスタートする。

 料理は、刺し身1種(550円)、刺し身3種盛り(1,300円)、野菜の浅漬け、ピリ辛タコキュウリ(以上380円)、めんたいことチーズの西京焼、アンチョビーのバジルチーズ焼き、もずくと夏野菜の酢の物、もつ煮、ポテトサラダ(以上480円)、自家製さつま揚げ(500円)、若鶏の唐揚げ(550円)、ズワイガニのバーニャカウダ、だし巻き卵(以上600円)、貝のうま煮、サバの干物(650円)、豚肩ロースのみそ付け焼き(750円)など。

 ご飯ものは、めんたいこのお茶漬け漬物付き、鮮魚のお茶漬け漬物付き(以上550円)、サバの棒ずし(600円)。ご飯、みそ汁、漬物のご飯セット(550円)。バニラアイスと干し柿のラム酒漬け、豆乳ゼリーしょうが蜜がけなどデザートも用意する。

 ドリンクは、日本酒、芋焼酎、梅酒、生ビール、ハイボール、レモンサワー、ジントニック、グラスワイン(赤・白)など。ソフトドリンクは、コーラ、ジンジャーエール、梅サイダー、オレンジジュース、ウーロン茶、緑茶、紅茶、ハーブティーなど。

 ランチ(1,500円)は月替わりで提供する。7月・8月は、刺し身3種、豚肩ロースのみそ漬け焼き、サバ干物、小鉢、ご飯、みそ汁、漬物。

 「駅前でカフェに入るように、一息つける酒場として気軽に立ち寄っていただければ」と堅造さん。「今後はイベントをはじめ写真展など、箱としてさまざまな使い方も提案したい」と抱負を話す。

 営業時間は12時~22時(12時~14時=ランチタイム、14時~17時=ドリンクのみ提供するカフェタイム、17時~22時=ディナータイム)。火曜・水曜定休。