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「拾ってきた物も美しく」 鎌倉の80代アーティスト夫妻が地元で12年ぶりの作品展

作品を並べたグリーンの机も実は三重子さんの作品。中央の人形はまるで2人がモデルのよう

作品を並べたグリーンの机も実は三重子さんの作品。中央の人形はまるで2人がモデルのよう

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 鎌倉の「古書 アトリエ くんぷう堂」(鎌倉市佐助1)1階ギャラリーで10月10日から、アーティスト夫妻の作品展「HAND & SOUL展」が開かれている。

家庭のテーブルの上に並んだ作品の素材は木材や布が多い

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 主催しているのは内藤三重子さん(86)と鎌田豊成(かまだとよしげ)さん(84)夫妻。普段は銭洗弁天へ向かう途中の路地を入った先に立つ10平方メートルに満たない小屋「HAND & SOUL」(佐助2)で、2人が作った小物を販売している。

 2人は、婦人服の三愛でデザイナーとして勤務し結婚。三重子さんは1965(昭和40)年からフリーランスとなり、イラストレーターや執筆家として活動し、1990(平成2)年ごろ、人形作りや流木などを使ったクラフト創作を始めた。

 豊成さんは広告代理店に移籍後、アートディレクターやクリエーティブディレクターとして活躍。1994(平成6)年からは長岡造形大(新潟県)で教授を務め、退官を機に2008(平成20)年、2人で「HAND & SOUL」を開いた。

 開店記念に由比ガ浜のギャラリーで作品展を開いて以降、毎年「HAND & SOUL展」を東京・神宮前(東京都渋谷区)のギャラリーで開いてきたため、「鎌倉での展示は12年ぶり」と豊成さんは話す。

 会場の「くんぷう堂」は2019(平成31)年2月、画家が住んでいた家屋を改装して開いた古書店。2階のアトリエを店舗に、1階の居住スペースだった2間をギャラリーにした。

 店主の伊藤薫風(さつき)さんとは地域のイベント「鎌倉佐助のさんぽ市」の打ち合わせで知り合った。店に足を運ぶと「中が見えないので、最初は入りづらかった」と笑う豊成さん。「勇気を出して上がってみたら、アート系の書籍も多く素晴らしい古書店だった」と驚く。

 作品展前日、搬入作業を見て伊藤さんが驚いた。「大きな作品もあったのでお孫さんが車で運び込んだが、そこからの配置や飾り付けは全て2人だけで仕上げてしまった」と振り返る。

 1階ギャラリーの片側が全て窓だったため、「レースのカーテンが気になった」と言う三重子さん。実際に置いてみると「普通の家に置いたイメージになり、かえってしっくりきた」と笑顔で話す。

 展示作品は、人形やクッション、オブジェ、ランプなどの小物から、「店が狭いので、いつもは置けない」テーブルや棚、机、椅子、棚など大きな物まで50点以上。素材や色、形も多彩で、2人が手作りしたものを分けることなく並べた。

 「材料は端切れや流木など、古いもの、拾ってきたものが基本。珍しい流木などを見つけてくると、2人で取り合いになることも」と豊成さんは笑う。「富士山や美人は、誰が見ても美しい。誰も美しいと思ってもいない物が、僕らが作ることによって美しい物に生まれ変わるのが面白い。それを皆さんが喜んでくださるのがうれしい」と言う。

 逗子から来場した安納令奈さんは、10年ほど前に友人に連れられて店を訪ねて以来のファン。「作品の自由さ、クリエーティブさに引かれる。店での2人の掛け合いも絶妙。毎年東京の作品展にも出掛けていたが、今年は近くなので期間中にまた来るつもり」と話す。

 「東京には来ていただけなかった鎌倉の方にも、今年は見ていただける」と豊成さん。連日来場者でにぎわっている状況に、三重子さんは「長く生きているので、知り合いが多いから」と謙遜する。

 もともと八重子さんは北鎌倉、豊成さんは大船住まいで、結婚を機に引っ越した佐助で半世紀を過ごしきた。豊成さんは「鎌倉は自然も歴史もあり、文化的刺激も多い。佐助は今でも静かで畑もあって隠れ里のようなのに、駅にも歩いて行けて、とても気に入っている」と言う。「これからも鎌倉で、美しい作品を楽しく作り続けていきたい」と2人は声をそろえる。

 開催時間は11時~18時。月曜休廊。入場無料。今月25日まで。

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