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サッカー県2部「鎌倉インテル」 ボーダー超え新ビジョンに昇格目指す

ユニホームの胸にはクラブ後援会の名称「CLUB WITHOUT BORDERS」が

ユニホームの胸にはクラブ後援会の名称「CLUB WITHOUT BORDERS」が

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 神奈川県社会人サッカーリーグ2部「鎌倉インターナショナルF.C.(通称:鎌倉インテル)」(鎌倉市大船1)が創設から4年目、新たなビジョンを掲げ新体制を整えて5月30日、シーズン開幕戦を迎える。

新ユニホームを着るファミリー(撮影:Jesse Kojima)

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 2018(平成30)年1月、サッカーを通して鎌倉発で国際的に活躍できる人材や価値の創造を目指し誕生した同クラブ。県リーグ3部に加盟、わずか1シーズンで2部へ昇格。2020(令和2)年には2部ブロック優勝を果たし、1部昇格決定戦まで駒を進めたが惜敗した。

 4年目となる新シーズンに向けて、昨年から取り組んできたのがリブランディング。現在はJ1リーグから数えて8番目のカテゴリーに属しているが、長期的に将来を見据えビジョンを大幅に見直した。

 そのキーパーソンとして迎えたのが、今季からチームの指揮を取る河内一馬監督。欧州や南米を渡り本場のサッカーを肌で感じた後、アルゼンチンで監督ライセンスを取得した。「日本のサッカークラブを世界レベルに高めていくためには、戦術面だけではなく自らがクラブのブランディングをする必要性を感じていた」という河内監督が同クラブと昨年出会い、一緒に新たなブランドの構築を目指すことになった。

 掲げたビジョンは「CLUB WITHOUT BORDERS」。国境はもとより人種や宗教、性別、年齢、分野など境界線をもたないサッカークラブであることを表現した。あらゆることが混ざり合い、全く新しい価値を生み出していくクラブを目指していく。

 ロゴは、さまざまな人や文化を巻き込み生まれていく新しい色「EVOLVING MARBLE」で、鎌倉時代の切り通し「鎌倉七口」や地球、波紋、年輪など自然豊かな鎌倉をモチーフにデザインした。「言葉の通じない全世界の人々に声を届けるためにクールなビジュアルで表現することにこだわりを持っている」と同クラブは発信している。

 「まだ完成前だったが、見せられたサッカークラブらしくないロゴやビジョンを見て驚き、引かれた」と話すのは、昨年末に同クラブに加わり、現在は広報として活動する岡田浩弥さん。そのビジョンはクラブ後援会の名称となりユニホームの胸に掲げられたほか、県2部リーグのレベルには珍しく、数々のスポンサーのロゴが並んでいた。「しかも、鎌倉とゆかりのある企業ばかりで、地元との結びつきも感じた」と続ける。

 クラブの改革は、環境面でも進んでいた。今秋完成予定の「みんなのスタジアム」(市内深沢)もその一つ。課題だった練習場確保とホームグラウンド建設を目指し、掛かる費用1億円のうち3,000万円を目標にしたクラウドファンディングを昨年末に実施し、達成した。岡田さんは「鎌倉のコミュニティーを盛り上げる場として。また、今季は昇格が懸かるトーナメントや決定戦の舞台として間に合えば」と期待を寄せる。

 昨季までの選手をベースに、セレクションを行い選手層の底上げも図った。昨季途中から加わった元Jリーガーの辻正男選手に続き、J2ギラヴァンツ北九州から内藤洋平選手が加入。「20代前半の選手が多いチームだけに、経験豊富なベテランの存在は頼もしい」(岡田さん)と期待する。

 開幕を前に、トレーニングは水曜・木曜の夜に行い、土曜は自主練習、日曜に練習試合を組んでいる。全員が普段は仕事をしているため、参加できない選手には、ミーティングや練習の動画、資料を送っているという。開幕を控えた練習を見ている岡田さんは「日に日に緊張感が高まってきているものの、監督と選手らとの距離が近く、一緒にサッカーを楽しむ仲間、ファミリーという印象。雰囲気はいい」と笑顔で話す。

 今季の2部リーグは30チームを3グループに分け総当たりで戦い、各グループの1位で昇格を争う。「コロナ禍で今季も試合数が少ないため1試合に重みがある。特に開幕戦は絶対に落とせない」と岡田さん。その開幕戦の相手は、相模原市をホームタウンとする大沢FC。無観客で運営されるため、会場やキックオフ時間などは未公開。「足を運んでもらえないのが残念だが、SNSなどで経過を随時発信していくので応援してほしい」と話す。

 シーズン開幕を前に22日から「鎌倉にサッカー文化を。街とスタジアムを公式グッズで賑(にぎ)わせたい!」のタイトルでクラウドファンディングを始めた。わずか17時間で目標額の100万円は達成したが、6月27日まで継続する。

 リターン(返礼品)は、ユニホーム(レプリカ)やTシャツ、帽子、タオルマフラーなど一新されたロゴの付くグッズ。鎌倉市出身で今季はキャプテンを務める藤田航規選手は「サッカーを続ける理由の一つが地元にサッカーで貢献したい、育ててもらった地域に何かを返したいという思い。皆さんと熱くなる週末になれば最高。引き続き応援を」と話し、岡田さんも「あらゆるボーダーを超え、多くの人がグッズを身に付けて一つになれたら」と支援を呼び掛ける。

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