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サッカー県リーグ「鎌倉インテル」が人工芝グラウンド建設 1平方メートルオーナー募集も

記者会見後の記念撮影は選手や関係者のほか、賛同者の「鎌倉もののふ隊」の姿も。代表の四方さんはシンガポールからオンラインで参加(右スクリーン)

記者会見後の記念撮影は選手や関係者のほか、賛同者の「鎌倉もののふ隊」の姿も。代表の四方さんはシンガポールからオンラインで参加(右スクリーン)

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 鎌倉商工会議所(鎌倉市御成町)で12月10日、市民が利用できる人工芝グラウンドを民間主導で建設する「鎌倉みんなのスタジアム#鎌倉ミンスタ」プロジェクトの発表記者会見が開かれた。主催は、鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル 大船1)。

グラウンド1平方メートル分で応援。FIFAライセンス企業との共同開発する人工芝はリサイクル可能な素材を使用 撮影:Kazuki Okamoto (ONELIFE)

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 神奈川県社会人サッカーリーグ2部所属で、設立からわずか3年弱のクラブが、自前のサッカーグラウンドを建設するというサッカー界でも珍しいプロジェクトの発表に、同会場には10社のメディアが集まり、オンラインでも10社が参加した。

 「3年前のクラブ立ち上げ時から、最も時間を割かれているのがグラウンドの確保」と話すのは、登壇した同クラブゼネラルマネジャーの吉田健次さん。「もともと市内にはほとんどグラウンドがなく、近隣で確保するのも抽選で10倍、時には100倍の競争率となる。質の高い選手を集めるためにも、より良い環境の整備は急務だった」と続ける。

 予定地は、湘南モノレール「湘南深沢駅」に隣接する20ヘクタール(東京ドーム約7個分)の空き地の一角で、面積は約7500平方メートル。3年後には鎌倉市役所本庁舎移転などを含めた大規模開発が見込まれるため、期間限定で6400平方メートルの人工芝グラウンドや移動式簡易スタンド、クラブハウスなどを建設する。総工費は約1億円。

 シンガポールからオンラインで登壇した同クラブ代表の四方健太郎さんは「チームを強くしたいという思いからスタート。当初よりも建設費がふくれ上がっており、3年しかないので一刻も早くオープンしたいと考え、クラウドファンディングで賛同者を募ることにした」と話す。目標金額は、3,000万円。

 リターン(返礼品)の目玉は、グラウンドの人工芝1平方メートル分のオーナーシップ。土地の所有権はないが、1口3万円で3年間に限り敷地内の掲示板に名前を掲示するほか、グラウンド利用の先行予約や利用料金割引、スタジアム開放日の利用など特典が付く。個人ではなく、グループや連名での支援もできる。

 ほかにも、グラウンド周囲のスポンサーバナー(看板)1口100万円(CFでは10口限定)、観戦スタンドのスポンサー600万円、グラウンドのネーミングライツ1,500万円なども用意する。

 「リターンが形のある物ではなく、しかも期間限定なので無謀なチャレンジかもしれない。でも、一人一人が自分ごととして運営し育てていく意識で参加いただければ、文字通り『みんなのスタジアム』になる」と四方さん。「行政や大企業に頼らず実現したい」と力を込める。

 来年2月下旬に着工し、4月中旬のオープンを目指す。一般にも貸し出し、利用者は3年間で15万6000人を見込み、約10億の新たな消費を生み出すと予測している。

 建設の事業主で施設の運営主体となるのは、鎌倉スポーツコミッション。代表理事の堀米剛さんは「市内には子どもたちが継続的にスポーツができる環境が少なく、いずれは外へ出て行かざるを得ないのが現状。グラウンドとクラブハウスがあれば、スポーツを通して親たちも集まれる。形はグラウンドだが、誰もが使えるコミュニティースペースを作るイメージ」と話す。

 「鎌倉はサッカー不毛の地だと思っていた」と笑いを誘ったのは、鎌倉出身で現在も在住する、同クラブアドバイザーの神川昭彦さん。「サッカーを始めたのは、すぐそこの御成小学校」で、鎌倉高校サッカー部OBでもある。明治大学体育会サッカー部監督時代には、その後日本代表になる長友佑都選手をはじめ多くのプロ選手を育成した。「3年前に突然、鎌倉インテルが出現し、今度はスタジアムをつくることになり、こんなにわくわくすることに関われるなんて考えてもみなかった」と続けた。

 四方さんは「どうせ無理、できないと思われそうだが、そもそも選手がたった一人だけのところから現在は200人弱の大所帯になり、わずか3年で県1部に手が届くところまできたことを考えれば、不可能ではないはず」と話し、「チャレンジする姿勢を見せることで、世の中に勇気を与えたい。コロナ禍でもチャレンジする人が増えれば、もっといい世界になっていく。支援というより、一緒になって進めるつもりでご参加いただければ」と呼び掛ける。

 クラウドファンディングの申し込みは、2021年2月23日23時59分まで。

 登壇した鎌倉出身でクラブ創設当時から所属する藤田航規選手は「子どもの頃からいつも土のグラウンドでどろんこになっていたので夢のよう」と話し、佐々木英泰選手も「深沢の空き地の前を通る度にどうしても信じられなかったが、もうそこまで来ているのだと今日実感できた」と目を細めた。

 同クラブは県2部リーグで今季ブロック優勝を果たし、12月20日にFCグラシア相模原と1部昇格決定戦(無観客で、協会の規定により時間や会場は非公開)を迎える。試合の模様は同クラブが「ユーチューブ」で10時50分からライブ配信する。「その日がゴールではなくスタート。いい準備をしたい」と藤田・佐々木両選手は口をそろえた。

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