「湘南モノレール50周年誌」が4月1日、発売された。企画制作は昨年7月に全線開通50周年を迎えた湘南モノレール(鎌倉市常盤)と森川天喜さん。
同社の50年誌制作委員会と共に企画制作を担当した森川天喜さん
同誌は「開業の背景」「会社創立・開業・全通」「全通後の道のり」「新体制への移行と次の50年に向けた取り組み」の4章で構成。A4判、152ページ、オールカラーで、写真や図面、地図なども多数掲載している。
森川さんは「主に社内向けの社史編さんのイメージでスタートしたところ、広報スタッフが倉庫から古い資料を引っ張り出してくれ、思わぬ発見がたくさんあった」と話す。開業前の段階の申請書類、取締役会の議事録、鎌倉市長や藤沢市長、京急や国鉄大船駅長(当時)との書簡などが細かくファイリングされていたことから、「貴重な資料や古い写真などを活用し、一般の人が手に取っても楽しめる記念誌を制作することになった」と振り返る。
鎌倉市中央図書館や藤沢文書館、国会図書館などにも足を運び、資料を読み込んだという。神奈川新聞社からは記事を、同線の建設に当たった鹿島からは工事の模様とともに沿線の風景が映り込んだ動画の提供を受けた。
「特に構想から開通までの貴重な資料は多くの人に知ってもらいたかったが、全てを掲載できない」と森川さんは、同社のホームページ内のウェブマガジンに「前線開通までの全記録」としてまとめ、動画を含めて50回にわたって配信した。
同書では、歴史をひもとく本編のほか、エピソードなどをコラムとして掲載。インタビューや社員による座談会、巻末には歴代の車両の図面やレールを支える支柱の構造図、主な記念切符を紹介するなど「多角的に見て楽しめる構成にした」と森川さん。「レイアウトもいわゆる『社史』ではなく、これからの50年に向けて新しい時代の風が吹いている印象に仕上げた」と説明する。
座談会では、「歴代車両の微妙な癖や個体差に合わせていく運転士の話、終電後の点検車による暗闇での地道な作業を行う保線区員の話なども聞くことができ、そんな日々の積み重ねの50年に頭が下がる思いだった」と話す
森川さんは「昔の沿線風景と共に、地元の歴史を凝縮した一冊。たった6.6キロの路線に知られざる歴史や人間模様があったことが伝われば」と話す。
価格は2,000円。湘南モノレール大船駅窓口で購入できる。