食べる 買う 学ぶ・知る

鎌倉の谷戸に「糀」体験できるカフェ みそ作りやぬか糀の使い方ワークショップも

店主の寺坂さん。路地の奥に現れるおしゃれな空間はまるでブティク。左の扉を出て庭を歩いた先にイートインスペースがある

店主の寺坂さん。路地の奥に現れるおしゃれな空間はまるでブティク。左の扉を出て庭を歩いた先にイートインスペースがある

  • 247

  •  

 鎌倉に5月に開店した糀(こうじ)専門店「sawvih(そうび)」(鎌倉市浄明寺5)で10月から、みそ造りやぬか糀に関するワークショップが行われる。

大きめの窓の外は全て緑が覆い尽くす。木製の大きなテーブルと椅子が置かれたイートインスペースはワークショップにも最適

[広告]

 鎌倉でも東側のはずれに近いエリアに位置する同店。泉水橋バス停からは近いが、車が入れない路地を突き当たりまで進んだ谷戸(やと)にあり、「案内の看板がないので地元の方でも迷うかもしれない」と笑うのは店主の寺坂寛志さん。「目的を持ってわざわざここまで来てくださった方と長くお付き合いできればうれしい」と続ける。

 寺坂さんは会社員生活や海外留学を経て5年前、福井県越前町で糀屋を営む実家で働き始めた。すでに実家を継いでいた姉や弟とは異なる活動をしようと、マルシェやイベントに出店したり、ワークショップを開いたりした。その度に糀への関心が高まっていることを実感し、2年前、「ほかの場所で発信することも重要」と外へ出ることに。

 夫人の実家のある神奈川県内で物件を探していると、車で通り掛かり訪れた報国寺が気に入り、「鎌倉でもローカルな場所で糀との相性もいいのでは」とエリアを絞り込んでいった。

 たまたま葉山で見掛けた店のたたずまいに引かれ、手掛けたデザイナーを探し設計を依頼した店舗兼自宅が今年3月に完成。木目を生かしたモダンな外装で、入り口のドアを開けると壁面にジーンズや靴をディスプレーし、アパレルショップのよう。糀の素である米や大豆作りの畑仕事でも「機能的かつ格好よくと自分でデザインした」というジーンズは、販売もしている。

 いったん外へ出て庭を回った先のドアを開けるとイートインスペースが現れる。「店に入ってからも自然を感じてもらえるように」と、裏の竹やぶや緑を取り込むような大きな窓を設置した。ゆらゆらと風に揺れる木々を見ながらのんびり過ごす客も多いという。店舗面積は約60平方メートル。席数10席(室内6席、テラス4席)。庭に置かれた木製のベンチは寺坂さんの自作。

 イートインもテークアウトもできるドリンクは、甘糀のジンジャーエール、甘糀のジンジャーミルク、甘糀のミルクコーヒー(S=450円、M=500円、L=550円)、オレンジ糀(S=350円、M=400円、L=450円)、甘糀のホットジンジャーミルク、甘糀のバターアップル、甘糀ラテ(M=500円、L=550円)など。「糀はドリンクとの親和性が高いのでさまざまなスタイルで楽しんでいただける」と言う。スイーツは、農家のロールケーキ(カット380円、ホール1,800円)、大豆ティラミス(480円)、米粉のパウンドケーキ(400円)など。

 販売する商品は、「糀味噌(450グラム)」(880円)、「無農薬白糀・玄米糀(500グラム)」(1,080円)、「甘糀(200グラム)」(480円)など。

 「ドリンクやスイーツは糀を知ってもらうため。ゆくゆくは糀やみその販売シェアを伸ばしていきたい」とワークショップも始めた。これまで開いた「甘糀の作り方、使い方」に加え、新たに用意する講座は2つ。

 「味噌づくり講座」は、糀の効能がどのようにみそをおいしくしていくのかなどの科学的な話や歴史、各地のみそを紹介しながら西京みそをベースにした北陸独特の「辛みそ」を造る。「通常の倍の糀を使うので醸造期間が短く、料理に使った時には甘さと香りが立つ」のが特徴だという。「糀みそ」2キロができる。参加費は2,500円。

 「ぬか糀の使いかた講座」は「ぬか漬けを食べる際に洗ってしまう糠にこそ栄養がある」ことから、ぬかを野菜に混ぜ込んだサラダを作るほか、糀でディップソースを作って鎌倉野菜のスティックを食べる。「ぬか糀のワークショップはこれまで聞いたことはがなく初めての試み」と胸を張る。参加費は糠糀と糠ドレッシングが付いて2,000円。両講座とも手ぶらで参加でき、自宅に帰ってからも実践できるのが特徴。

 寺坂さんは「昔は八百屋や魚屋などとともに商店街には必ずあった糀屋。もう鎌倉にも一軒もないはずなので、近所の方が気軽に買いに来ていただける存在になりたい」と話し、「糀は生活に無理なく取り込めるので、まずは実際に食べたり飲んだり、体験していただければ」と来店を呼び掛ける。

 営業時間は10時~18時。水曜定休。ワークショップの問い合わせや予約は(TEL 0467-37-5188)まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース